JVCは今年、長崎童話館「子どもの平和と生存のための童話館基金」様、故・清原美彌子様のご支援もと、シュアファット難民キャンプの2つのセンターでのサマー・プログラムを支援しました。7月上旬から始まったサマー・プログラムは、8月上旬までに2箇所とも無事終了。多くの子どもたちが、一ヶ月以上毎日のようにサマー・プログラムへと足を運びました(HP記事299へ)。
長い夏休みの間、学校が閉まっていればほとんどの子どもたちは行く場所がありません。外で遊ぶには、道は狭くゴミも溢れていて不衛生です。また、治安がよいとは言えない環境で軽犯罪に巻き込まれる心配もあるので、多くのお父さんやお母さんたちは子どもたちが路上で遊ぶのを不安に感じています。かといって、家族で旅行にいけるほど、このキャンプに住む人々は経済的に余裕があるわけではないのです。サマー・プログラムは、そういった子どもたちが、安全な環境でのびのびと体を動かし、美術や音楽など創作活動を通して、日頃のストレスを発散して創造力を高める場所です。また、ボランティアを中心に子どもたちが協力し合って自主的に活動を行うことで、リーダーシップを育てる場でもあります。
シュアファット・キャンプ内のバス停を下りると、そのすぐ横がパレスチナ子どもセンターです。入り口には、ボランティアのお兄さんが立っていました。「何しているの?」と聞くと、「子どもたちが出たり入ったりしないように見張っているんだよ」と笑って言います。子どもセンターのサマー・プログラムには、150人以上の子どもが参加。大きな屋外のスペースがあるセンターですが、何しろ元気一杯の150人の子どもをまとめるのは大変。一瞬でも目を離すと、子どもたちはあちこちへと散ってしまうのです。その足(逃げ足?)の速さには私もびっくり。こっちのゲームに参加しながらもあっちのゲームも気になる?!のか、子どもたちはじっとしていません。また、キャンプの入り口の検問所から近いため、このセンターの前をイスラエル兵が通って行くことも時々あるので、ボランティアさんが子どもたちの安全のためにも入り口に立っていたのです。

ボランティアさんたちは、準備段階でもミーティングを重ね、また医療救援協会による救急法講習も受けて万が一の事故にも備えました。プログラム実施中もボランティアさんたちは毎日、子どもたちが帰った後に集まって反省点や改善点などを話し合ったと言います。


中に入ると、センターの上の階から、廊下から、グラウンドから子どもたちの元気な声が聞こえてきました。上の階ではポップ・ソングを歌ってどうやら太鼓をたたきながら踊っているようです。歌うというよりは叫ぶという感じですが、元気一杯な様子が声から伝わってきます。廊下から部屋をのぞくと、子どもたちが床に寝そべりながら大きな紙に絵を描いていました。グラウンドでは、フラフープを使ったゲームや、徒競走などで盛り上がっています。子どもたちは「見て!これ、僕が作ったんだよ!」「これは私と妹が一緒に描いたの」と、駆け寄ってきては一生懸命作った絵や工作を披露してくれました。また、事務室に行く度に、新しくサマー・プログラムに参加するために登録をしに来る姿が見られました。「9割以上の子どもたちは参加費(50シェケル=約15,00円、一ヶ月)を払うことができないけれども、もちろん来る全ての子どもたちを受け入れている。子どもたちにとっては、体を動かして、たくさんの友達と一緒に遊んで勉強して成長する、貴重な一ヶ月。全ての子どもが平等だよ」とセンターの男性はいいました。そして午後2時、一日のプログラムが終わって帰る時間になると、子どもたちは「帰らない!」と滑り台に登ったりグラウンドを走り回ったりしているのです。

(つづく)
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