7月31日、ガザのアルデルインサン栄養センターは栄養失調児と母親達でごった返していました。今日は30人以上の子供達が来院しています。その内、新規の患者は5人です。このセンターには4月から6月の間になんと400人の新規の子供達が訪れました。そして、そのほとんどが中度の栄養失調と診断され通院しています。重度の栄養失調児のほとんどは疾病しているため、病気の治療が優先するので、栄養失調児として扱われることは少ないのです。封鎖のため食料・水・電気・燃料の不足が続くガザでは、新規の栄養失調児が増える一方です。
今日もいつものように、母親達に聞き取りを開始しました。いつからセンターに来ているの?子供の様子はどう?良くなっている?何キロ増えた?そんな質問を母親達にして、記録し、子供を写真に収めていきます。

小さいレダちゃんは8ヶ月ですが4.8キロしかありません。2週間で200グラム増と、小幅ですが、回復に向かっています。カメラに収めたレダちゃんの写真をお母さんに見せたら、「やだー!アフリカの子供みたい!」と悲鳴のような答えが帰ってきました。「きっと良くなるわよ」と励ましました。

後ろを振り向くと、ムハンマド君のお母さんが待っていました。目も鼻も口も大きいムハンマド君のお母さんは、「次は私よ。この子の写真を撮って頂戴」と言って大きな笑顔で待ち構えています。多くのお母さんは自分が写真に写るのを好まないのですが、ムハンマド君のお母さんは一緒に写っても大丈夫。「センターはグッドよ。」「この子は良くなっているのよ」と終始上機嫌、話し方にもパワーがあります。そのパワーに圧倒されて、データを取るのを忘れました。
気がつくと、周りをぐるりと母親達に囲まれていました。今日の母親達は熱心です。「次は私。私の子供も写真を撮って。」その熱気には目眩を感じたほど。私が「暑い」と言ったら、あっちの扇風機のところに行こう、と連れて行かれました。そしてそこで一息つくやいなや、次はうちの子攻撃が始まりました。さ、聞き取り再開です。今日は15人ほどの子供の写真とデータを記録しました。全部は紹介できませんが、もう2人ほどここにご紹介します

イシャム君は、1歳9ヶ月で8.8キロです。2週間で300グラム増えたそうです。お母さんも「良かったわ」と、嬉しそう。7人兄弟の末っ子だそうで、お母さんがとてもかわいがっているのがわかります。

ムハンマド君は1歳7ヶ月で、1ヶ月で800グラム増えました。やはり7人兄弟の末っ子だそうです。お父さんは失業中。お母さんは「良くなっているのよ。センターに感謝しているわ」と、素敵な笑顔を見せてくれました。
栄養失調の子供を抱えて初めてセンターに来るお母さん達は皆とても不安そうです。でも子供の回復の兆しが見えると、もっと頑張ろうと、やる気が出てくるようです。センターで提供している治療用栄養食は一般家庭には手の届かなくなった野菜や果物やお肉を使っていますが、センターでの食事だけでは改善が見えにくかった昨年の反省から(家に栄養が取れる食材がないので)、今年は家庭に持ち帰る乾燥食材の量を増やしています。お米やセモリナ粉を砕いたものと栄養価の高いナツメヤシなどのペーストです。おかげで多くの子供達が短期間で確実に改善しているのが実感できます。子供の回復とお母さん達のやる気は相乗効果を生むのです。そして、お母さん達の笑顔を見られるのとセンターへの感謝の言葉をもらえるのは、本当に嬉しいことで私のやる気にも繋がっていきます。
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