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東エルサレム:旧市街の西壁トンネル

パレスチナ現地代表 小林 和香子
2008年6月 2日 更新
第二神殿の模型第二神殿の模型

東エルサレムの旧市街には、イスラム教の第三の聖地とされる7世紀に建造された岩のドームとアル・アクサ・モスクが建つハラム・アッシャリーフという広場があります。同じ敷地に紀元前20年頃にユダヤ教徒のヘロデ王によって建造され、西暦70年頃にローマ人により破壊されたユダヤ教の第二神殿があったとされています。ハラム・アッシャリーフの西側の壁(「西壁」)の土台は破壊された第二神殿時代の壁で、その時代の残存する唯一の遺跡建造物とされています。嘆きの壁と呼ばれる、表に出ている壁の距離は58メートルですが、地上に隠れた部分も含めた西壁全体の距離は480メートル以上におよぶそうです。

1967年に東エルサレムと西岸・ガザを占領したイスラエルは、この神殿跡の発掘調査に力を注いできました。東エルサレム・西岸を含む歴史的パレスチナ全土はユダヤの民が神に約束されたもので、ユダヤ民族はその土地に「戻る」権利及び義務があるとする根拠の聖書が史実であることを考古学的に証明しようとする努力のようです。この発掘調査は、嘆きの壁の下から西壁に沿って大規模に進められ、その一部は「西壁トンネル」としてガイド付きツアーとして一般に公開されています。そのツアーに参加しました。

地下に設けられた祈りのスペース地下に設けられた祈りのスペース

トンネルのツアーはまず、第二神殿の模型の説明から。現在のレイヤーを取り除き、ローマ時代のレイヤーを取り除くと、第二神殿の時代の模型が現れます。そしてトンネルを進むと祈りの場所に出ました。女性専用のバルコニーのような場所とその下にある男性専用の祈りの場所には敬虔なユダヤ教徒の姿がありました。

二千年前のものとされる巨大な石二千年前のものとされる巨大な石

そして、トンネルのハイライトは最も地下深くにある第二神殿時代のものとされる大きな石壁です。石の大きさは横幅約13メートル、高さ3メートル、重さは570トンと言われ、その巨大さゆえに破壊を免れたということです。そしてこの壁に面した道は二千年前からのものという説明がありました。

トンネルの出口はムスリム地区でキリスト教徒の聖地でもあるビアドロローザにあります。西壁沿い地中深くの発掘工事は、ハラム・アッシャリーフの土台を弱めるとしてパレスチナ側からの強い批難がある中、オスロ和平プロセス最中の1996年にトンネルが開通しました。国際社会は東エルサレムがイスラエルの占領下にあるとしていて、しかもオスロ和平プロセス期間中に開通したトンネルは、パレスチナ人とイスラエル側の衝突を招き、その波紋は西岸にも広がり、パレスチナ側は58人のイスラエル側は15人の兵士が犠牲者を出すまでになりました。国連もその安保理決議1073でイスラエル政府に対してトンネル開通による衝突が和平プロセスにネガティブな影響を与えるとしてその中止を求めました。

しかし、トンネルの発掘調査は依然として進められ、今では西壁トンネルはイスラエル政府観光局のウェブサイトでも紹介されている人気観光スポットです。維持管理をしている西壁遺産基金(The Western Wall Heritage foundation)によれば毎年何百万人もの訪問者があるそうです。そして、この発掘のために、ムスリム地区では建物が傾いたりなどの被害が続発しているようです。


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