東エルサレムにあるシュアファット難民キャンプは、イスラエルのエルサレム市管轄内に位置している唯一の難民キャンプです。
その住民の多くは、1967年にイスラエルのエルサレム市が東エルサレムを「併合」したときに、「嘆きの壁」の前に広場をつくるために移住させられた人達とその子孫です。エルサレム市でありながら、西側のエルサレム中心部に通じる道には検問所が設置され、北部の位置する巨大入植地ピスガット・ゼエブとの間に「壁」が建設され、南部に位置する入植地フレンチ・ヒルや拡大を続けている入植地マアレ・アドミムとE1地区との間にも壁が建設されています。これらの壁とイスラエル人専用道路により、シュアファット難民キャンプと隣接するアナタ地区はまさに完全に隔離されようとしています。

このシュアファット難民キャンプの下町にあるセンターを訪問しました。センター長とヘルスワーカーに話を聞きました。「シュアファット難民キャンプの生活環境はひどいのよ。この狭い場所に4万人も住んでいるの。ここは土地はエルサレム市が管理し、難民の支援はUNRWAがすることになっているけど、どちらのサービスも充分に届かないの。例えば、ゴミの収集は本来エルサレム市がするべきなのに、市はゴミ収集に来ないし、UNRWAも学校は運営していてもそれ以上のサービスはほとんどしてくれない」と言います。確かに混沌としたシュアファット難民キャンプを訪れるたびに強烈な悪臭を覚えます。

「でも、UNRWAの学校がある山の手はまだましよ。ここ下町は、完全に『忘れられた地区』なの。ここは、麻薬や犯罪の巣窟なの。麻薬の売買や中毒者が多いの。女性の麻薬患者もいるのよ。子供の教育どころじゃないわ。犯罪も多くて、センターには何度も泥棒がはいってパソコンを盗まれたわ。屋根に取り付けたソーラーパネルも、持って行かれたの。最初は幼稚園しかなくて、午後は人がいなかったから」
「でもセンターを必要とする人はたくさんいるの。センターは午前中は幼稚園をしていて、午後は子供達が遊ぶ場所になるの。スポーツも教えているわ。夏にはサマーキャンプもしている。それに、お母さん達のプログラムもあるのよ。この荒んだ環境では女性達が集まれる場所が必要なの。ここでは、女性達が自分たちでプログラムを考えていろんなコースをしているわ。ヘブライ語の授業もしている。今では朝から夕方まで人がいるし、近所の人が気をかけてくれるようになって、泥棒も入らなくなったわ。この前なんか、オープンデーをしたら、千人以上の子供やお母さんが詰め掛けて来たの。センターが地域に必要とされているかわかるでしょ」

今回の訪問は幼稚園児の健康診断。約55人の子どものうち、20人ほどを診断しました。しかし、子供達の中には、服が汚れていたり、髪も洗ってなかったり、明らかに衛生状態の悪い子供達がいます。中耳炎や目の病気や皮膚の病気が見受けられました。これも衛生状態と関係していると思われます。

診断後にセンター長に子供達の衛生状態が良くないことを話しました。ラムジー医師もアズバ保健師も同意見です。子供達とお母さん達両方に対しての保健衛生講習の必要性を話しました。センター長はお母さんたちと相談するとのことです。お母さんたちの活動はすべて彼女達の意思で決めているからです。私たちの活動も依頼を受けて行います。なので、お母さん達が保健衛生の講習を受けたいと申し出てくれるのを待つことになります。
劣悪な環境で頑張っているこのセンターとそこに通う子供や母親達を、私たちも何とか支えたいと思います。
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