東エルサレムにアブ・ディスという町があります。

何千年も前からエルサレムとエリコを繋いできた、エルサレム・エリコ道路に面していて、エルサレムのベッドタウンとして栄えてきました。エルサレム旧市街から本来なら車で5分ほどの距離。ところが、この道路を「壁」が分断してからは、大回りをしなければならず、旧市街からは40分ほどかかるようになりました。その途中に検問所も設置されました。職や教育や保健サービスをエルサレムに頼っていた人々の多くは、それらから遮断されました。
アブ・ディスはパレスチナにとってはエルサレムの一部ですが、イスラエルのエルサレム市が「併合」した市管轄の外になります。従って、この地域に住む人のほとんどはエルサレムに居住したり、通勤したりするための永住権(通称「ブルーID」)を持っていません。
JVCは現地医療NGOと共同でアブ・ディスの幼稚園やセンターにも、健康診断や救急法コースを提供しています。今回訪れたのは、アブ・ディスにある、ユース・センター。センター長の話では、このセンターは2004年にアブ・ディスで初めて、男女両方の若者を対象にオープンしたそうです。センターは女性の美容師研修、リーダーシップ研修などを提供しています。

どの政党とも関係せず、地域のあらゆる人に開放しており、アブ・ディスおよび近隣のアイザリア、サワヘル、シェイク・サアドの若者を対象にしています。これらの地域はアブ・ディスと一緒に、エルサレムから切り離され、後方の入植地マアレ・アドミムに挟まれ、完全に隔離された地域です。この地域にはアル・クッズ大学とアル・クッズ・オープン大学の二つの大学があり、研修の開催にあたっては、二つの大学の掲示板に張るなど、広く参加を呼びかけているそうです。

今回、私たちはこのユース・センターから救急法の講習を頼まれ、出向くことになりました。ラムジー医師が講義を始めると、学生達は積極的に質問をしたり、怪我人の役を買ってでました。隔離され閉塞感が漂う地区にも関わらず、学生達は、ほがらかで前向きでさわやかでした。学生の1人が、「この地区には毎日のようにイスラエル兵士がやって来て、衝突も起きる。怪我人が出てもエルサレムの病院には行けないし、ラマッラーは遠い。閉鎖された地区だからこそ、せめて自分達で応急処置ができるようになりたい。是非、協力してほしい」とラムジー医師にお願いしました。
学生達の熱い思いに応えようと、ラムジー医師は11回の救急法のコースを提供することを約束しました。コースは大学が夏休みの間に実施する予定です。

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