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巡回診療:アイザリヤ

2008年3月11日 更新

医療救援協会(MRS)のラムジー先生が、アイザリヤの道を運転しながら言いました。「僕も昔はここによく遊びに来ていたんだよ、何しろ5分しかかからなかったからね」。

すぐ目の前には、壁がそびえ立ちます。ラムジー先生が住むオリーブ山は、この壁のすぐ向こう側なのです。今は、ここに来るのに車でも20〜30分かかります。しかも、ラムジー先生はエルサレムIDを持っているので遠回りをすればアイザリヤに来ることはできても、アイザリヤに住む西岸のIDの人たちは、すぐ壁の向こう側に行くことも不可能なのです。

アイザリヤやアブ・ディス(地図右下)は、壁(赤線)によりエルサレムから完全に隔離された(出典:United Nations OCHA oPt)アイザリヤやアブ・ディス(地図右下)は、壁(赤線)によりエルサレムから完全に隔離された(出典:United Nations OCHA oPt)

この日は、アイザリヤにある学校の幼稚園で健康診断が行われました。この地区は、2004年に壁によりエルサレムから完全に隔離されています。この日訪れた学校の窓からも、どこまでも走る壁が見えました。緩やかな丘の斜面を這う壁は、まるで蛇のようです。

学校の屋上から見える壁。ここから、壁の向こうであるエルサレムは近くて遠い学校の屋上から見える壁。ここから、壁の向こうであるエルサレムは近くて遠い

校長先生は言います。「以前は、病気になるとエルサレムの大きな病院に行けたけれど、私たちが持っている西岸のIDでは、そこには今は行けない。でもアイザリヤには病院はなく、プライベートのクリニックがあるだけ。学校の遠足も、前は子どもたちをオリーブ山などに連れて行けたのに、今はもう行けないの」

この日ラムジー先生は、保健指導員さんと一緒に、26人の女の子(5歳)の健診を行いました。検診では、1人の女の子に中耳炎が見つかったようですが深刻ではないとのことで、校長先生は安心した様子です。MRSでは幼稚園児や小学一年生を対象にこの健診を行っていますが、これは病気を早期のうちに発見してケアを行うという点でとても大切なのです。

ラムジー先生は診察に緊張する子どもをリラックスさせるのが得意ラムジー先生は診察に緊張する子どもをリラックスさせるのが得意

この学校は幼稚園から6年生までの男の子、女の子約500人が通います。学校内はとても清潔にしてあります。2年生のクラスをのぞくと、英語の授業を行っていました。私たちが顔を出すと、「ハロー!」「ハウ・アー・ユー?」と大きな声で元気よく聞いてくれました。「この学校の子どもたちはとっても勉強熱心で、優秀なのよ」と先生は誇らしげに言います。

診察中、ラムジー先生が子どもの名前のリストを見て、何人かの子に「お父さんの名前は?」と聞いていました。「僕は君のお父さんを知っているよ」と嬉しそうに語りかけると、その子も嬉しそうに笑いました。ラムジー先生の家は壁ができる前はこの地域にとても近かったので、たくさん友人や知人がいるのです。

壁は、教育や医療へのアクセスだけでなく、日常生活の中で親戚や知人、友人と会うことすら困難にさせています。それでも、子どもたちが元気に育っていけるよう、MRSは壁のエルサレム側、西岸側の両方で、活動を続けていきます。


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