
ガザのマワシ地区の幼稚園を訪問しました。ラファにほど近い場所にあるこの幼稚園は、今年の9月地元の女性グループにより開園しました。幼稚園で働く女性全員が無給スタッフです。貧困が蔓延する地区なので、園児から授業料は取りません。初年度の今年は40人前後の園児が見込まれています。しかし、開園間近になっても幼稚園には充分な椅子や机が揃ってなく、見かねた栄養改善プロジェクトの責任者が他の幼稚園とかけあって、お古の机や椅子を無料で提供してもらってきたとのこと。

私達が訪れたとき、園児達は、園庭のブランコで遊んでいました。厳しい状況下で育っていても、遊んでいるときの笑顔はくったくがないものです。でも、私達が園長先生と話している間に、女の子が半開きの園の門をするりと抜けて、スタスタ歩いて行きます。「脱走だ!」と皆で女の子を追いかけました。「ビスケットあげるから幼稚園に戻ろうね」となだめます。幼稚園の新年度は慣れなくて泣いてばかりいたり、勝手に家に帰ろうとする新園児の対応に負われます。そんな時に、私達が配給している高栄養ビスケットや牛乳は、子供達に幼稚園を好きになってもらう重要な道具にもなるのです。
マワシ地区はガザの海岸沿いにある幅1キロ長さ14キロほどの地区です。約5千人が住んでいます。かつては水資源に恵まれ、グアバやナツメヤシや野菜を中心とした農業と漁業が栄えた地区です。
しかし、1982年にイスラエルのグッシュ・カティーフ入植地がこの地区の東に設置されてから、この地区内外の移動は制限され、アル・アクサ・インティファーダ以降は完全に囲いこまれ、ハンユニスとラファに通じる検問所2ヶ所のみが地区と外を結ぶ場所となったのです。検問所は時には完全に閉鎖され、地区で生産された農作物を地区外で売ることも難しくなり、漁業に出ることも出来なくなりました。経済活動の9割が麻痺したと言われています。学校の先生が通勤も難しくなり、学校の授業に必要な文房具やコンピューターなどの電気製品の持ち込みも制限されたため、教育現場も困難を強いられました。医療分野でも、薬が届かなくなったり、外で手術が必要な患者が検問所で長時間待たされることも珍しくなかったそうです。電気や燃料や電話などの基本的なライフラインも充分ではなかったのです。
2005年夏、ガザからのイスラエル軍と入植地撤退に伴い、マワシ地区の閉鎖は解かれました。しかし、入植地撤退で期待されたガザの経済復興が始められようとした矢先の2006年1月にパレスチナ議会選挙でハマスが圧勝したため、ガザ全体が隔離され、巨大刑務所と呼ばれるようになりました。経済システムがほぼ完全に停止し、インフラも未整備のこの地区に、復興の兆しは見えず、依然としてガザでも最も貧困な地区の一つなのです。今年のJVCのガザ幼稚園栄養改善プロジェクトでは、このマワシ地区の幼稚園を支援対象に加える予定です。
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