イスラマバード滞在最終日。会議も一通り終え、優しい陽射しが心地よい午後、日本人スタッフ3名とアフガン人スタッフのサビルラは、充実感とともに滞在していた宿からごく近い場所にあるモスクに行ってみました。
モスクの中を歩いていると、同じく散歩を楽しんでいたパキスタン人の一家が前からやってきました。お父さん、お母さんと数人の兄弟姉妹に、小さな男の子もいます。ふと、その家族と目が合いました。軽く愛想笑いをしてすれ違おうとしたその時!急に声をかけらたのです。といっても現地の言葉を知らないためはっきりは分からないのですが、写真を撮るしぐさをしたので、私に家族の写真撮影をお願いしているのだと理解し、OK!と答えました。
私が手を出して、カメラを受け取ろうとしたら・・・
渡されたのはカメラではなく、子どもでした!!(笑)まさかお母さんが、通りすがりの外国人である私にいきなりわが子を託してくるとは全くの予想外!
もちろん片手では受け取れず、私の両腕が反射的にその子を抱きかかえました。数秒の静寂の後、...やっぱりその子は泣き出してしまいました。ちょっと焦る私。しかも両親に抱き方が悪い、とダメだしまで受けて...。子どもの向きを変え、泣き止むように必死であやします。
突然渡された子どもを必死にあやす私。急に外国人に身を引き渡され泣き出した男の子。当人たちはお互いわけがわかっていない中、その子の父親が嬉しそうに写真を撮り続けます。他の家族も私たちをにこにこ見守っています。男の子はついに泣き止んだものの、残念ながら笑顔は見せてくれませんでした。私も、"お母さんの腕ではご機嫌だったのに、ごめんね..."という申し訳なさでいっぱいになりました。いったい何だったのか。外国人との記念写真を撮りたかったのでしょうか。
さて気を取り直して歩いていると、また面白い光景を目にしました。モスクの敷地内は裸足になるのですが、この広い敷地内を箒で掃きながら、掃除をしている人が遠くから見えました。でも、どうも動きが不思議です。箒ではいているにしては、なめらかなのです。徐々に近づくにつれて分かったのが、箒の違い。
箒というより、モップでした。柄がなく、ひもを引っ張りながら床を拭くしくみです。こんなの見たことがありません。ごみが集まっているとも、きれいにふき取れているとも思えませんが、(むしろごみが散っていく気が...)彼はひもを右に左に振りながら、広い広いモスクの掃除を黙々と続けていました。異文化とは実に興味深いものですね。