26日の午後は福島県二本松市に移動。二本松市東和地区で農業を始めた菅野瑞穂さんを訪問しました。
大学卒業後、農業を始めようと菅野さんが福島に戻って1年ほど経った時、東日本大震災が発生し、原発事故が起きました。
「この地域では早くから農業は再開されたのですが、1年目は作っても食べられるかどうかの不安もあったし、売れるかどうかという不安もあった。震災後の1年目は、とりあえず作るしかなくて、売れなかったら損害賠償をするしかない。まずは作って土壌がどうなっているのか、野菜に放射能が移行するのか、そういった現状を確かめよう、と取り組み始めました。」と当時のことを振返った菅野さんは、現在、きぼうのたねカンパニーという会社を立ち上げ、交流イベントを積極的に実施しています。
「2011年6月から外部の人に直接ここに来てもらって、現状を聞いてもらう機会を持つようにしました。それから大体2か月おきにそうした交流イベントを開いてきました。月日が経つにつれ、外部の人たちには福島の現状があまり良く伝わっていないのだなと思い、いまの福島を福島に居る人が発信する意義があると感じました。そこで、昨年、会社を立ち上げて継続的に取り組むことに決めました。長期的にはこの地域の中で雇用をつくっていきたいという夢があります。」と語る菅野さん。
その原動力は「つながり」だと菅野さんは言います。
「外から人に来てもらって正しい情報を伝える。そして体験してもらう。その中から、食のありがたみや命の大切さを伝えていく。すると、人とのつながりがどんどん濃くなっていくのが分かります。地域の活動に多くの人が携われるんだという実感に私自身が衝き動かされています。」
これまで福島の困難な状況を見聞きしてきたタイ人にとって、菅野さんは困難な状況を打ち破る一筋の光に映ったのではないでしょうか。