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現地ブログ from スーダン

スーダン日記

スーダン駐在のスタッフが、日本ではほとんど知られていないスーダンの情報や活動のようすをお伝えします。

2021年10月25日、スーダンの首都ハルツームで、ハムドク首相や複数の閣僚が軍に拘束され、軍部がクーデターで権力を掌握する事態が発生しました。

今回のような状況に至る背景ですが、スーダンは2019年の政変以降、民政への移管を目指して軍と民主化勢力が共同統治を行ってきましたが、インフレ率が300%に上るなど、経済が好転しないことなどに市民が不満を募らせ、現政権に対する批判が高まっていました。

今月16日には、再び軍が統治を行って国を安定させるべきだと訴えるデモが、その5日後の21日には軍の復権に反対する大規模デモが行われ、数万規模の市民が参加しました。

また、1か月前の9月には、2019年に崩壊したバシール政権とつながりのある軍将校や民間人がクーデター計画に関与していたとして、約40人が拘束されるなど、情勢が不安定化している状態でした。

紛争から10年経った今、難民キャンプの人々は。~幼稚園運営支援・後半~

スーダン現地駐在員 山本 恭之
2021年9月28日 更新

前回は「幼稚園運営支援・前半」として、2013年からJVCが行ってきた幼稚園運営支援への取り組み、教員の変化などをお伝えしましたが、今回は、地域住民の教育に対する考え方やイーダ難民キャンプ(以下、キャンプ)全体での変化について、難民の皆さんの声を交えてご紹介します。

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紛争から10年経った今、難民キャンプの人々は。~幼稚園運営支援・前半~

スーダン現地駐在員 山本 恭之
2021年9月22日 更新

10年前に起きた紛争とイーダ難民キャンプ

2011年6月にスーダン南コルドファン州で起きた紛争から、約10年が経過しました。JVCは、同州で避難民となった人々、国境を越えて隣国の南スーダンへ逃れて難民キャンプで暮らす人々の双方を支援してきました。今回ご紹介するのは南スーダン・イーダ難民キャンプで実施している幼稚園運営支援についてです。前半・後半にわたってお伝えします。

国境を越え、命からがら南スーダンへと逃げた人々は自分たちの手で難民キャンプを立ち上げ、その運営を始めました。これが、イーダ難民キャンプ(以下、キャンプ)の始まりです。
未だにキャンプ内には4-5万人が暮らしていると言われ、紛争問題は解決していないため、故郷に戻ることもできず、避難生活を続けています。

イーダ難民キャンプは、スーダンの国境からおよそ15kmと近いため、難民の安全面を理由に、国連からは正式な難民キャンプとしては認められず、食料配布や給水などの最低限の支援のみが行われました。しばらくして各国のNGOが、物資配布を始めとする様々な支援を開始する中、教育については十分なサポートが行き届いていませんでした。それでも、「子どもたちの未来を奪ってはいけない。将来ここ(キャンプ)にいる子どもたちが武器を持たないように教育だけは絶やしてはならない」と教育に対する熱い想いを持つ難民たちによって、ボランティアたちによる学校が始まりました。
スーダン・南スーダンでは幼稚園の卒園資格がないと小学校への進学ができない(*1)という方針があるため、JVCは幼稚園教育の重要性を再認識し、イーダにある全幼稚園(*2)の運営サポートを2013年に始動させました。

(*1)スーダン・南スーダン両政府で定めがある一方で、実際は卒園資格がなくとも特例を受け入れるなど救済措置はある。しかし、小学校適齢期まで、幼稚園にも行かず家事の手伝いや家畜の世話などをして過ごしていた子どもたちは、小学校に馴染めず辞めてしまうケースも多いため、幼少期からの教育環境整備は、子どもたちの健全な育成にも寄与する

(*2) 幼稚園数は17園で84名の教員、2112名の子どもたちが在籍している(2021年8月末時点)

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補習校を修了した生徒の今を追う

スーダン現地駐在員 今中 航
2021年9月21日 更新

JVCは2020年から教育を受ける機会を失った子どもたちを対象に補習校を実施していますが、単に授業を受け学力をつけるだけでなく、朝の正規学級に編入・復学し、教育を受け続けることを目的としています。

2020年にJVCが支援する補習校に当初参加していたのは約500人。その後、新型コロナウイルスによる半年間の休校や、武力衝突から派生した集落への攻撃により避難・流出が相次いだこともあり、修了試験を受験したのが387人。カドグリ外に引っ越したり、反政府地域に帰還したりした生徒を除き355人が正規学級に就学しました。今、生徒たちは、引き続き勉強を続けているのでしょうか。

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職業訓練開始!―登録していないのにやってきた青年―

スーダン現地駐在員 今中 航
2021年9月15日 更新

南コルドファン州カドグリの避難民地区には度重なる紛争の影響を受け、十分な教育や、就職に役立つスキルを身に付ける機会を得られなかった若者が沢山います。さらに親が他界、または反政府地域にいる等の理由で、家計を支える必要があるにも関わらず、働き口の少ないカドグリでは職を見つけるのは容易ではありません。そのため、雨季には農業、乾季には木炭作りに従事している人々が多いですが、インフレが世界トップクラスの年率400%を越えるスーダンでは大変厳しい生活を強いられています。

そこで、「技術を身に付け、職を作る・得る」ことを目指し、避難民地区の若者を対象に8月から職業訓練を開始しました。年齢、家族の状況、教育的バックグラウンドを考慮した上で、約120名選定し4職種(溶接、リキシャ・トゥクトゥクのメカニック、縫製、食品加工)に分かれて実施しています。

溶接溶接
リキシャ・トゥクトゥクのメカニックリキシャ・トゥクトゥクのメカニック
縫製縫製
食品加工食品加工

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再びの武力衝突。そして休校 -生徒と教師の想い-

スーダン現地駐在員 今中 航
2021年6月 9日 更新

JVCはカドグリの5つの集落で補習校を運営していますが、そのうちの1つシャイール地区の近くで3月下旬に民族間の衝突が発生しました。
牧畜民の集団が家畜を連れて移動している際に、家畜用の水を巡り地元住民と口論になり、銃撃戦に発展。スーダン政府軍(SAF)が派遣される事態となりましたが、地元住民は抗議のために道路を封鎖し、通行する車に対し検問を実施。以下のような事態が立て続けに起こりました。

  • 衝突とは関係のない、結婚式のためにカドグリに来た男性が射殺される。
  • NGOの車両が銃撃を受ける。
  • NGOの職員が私用の車で通過した際に民族を聞かれ、車両のフロントガラスを破壊される。

射殺されたのがアラブ系牧畜民バッカーラの男性だったため、昨年発生した大規模な武力衝突の経験から地元住民(ヌバ民族)は復讐を恐れ、シャイール地区から軍基地や近くの親戚の家を頼って避難する人が続出しました。女性・子どもを含む殆どの住民が避難し、一部の男性だけが家を守るために残ることになったのです。そのため、朝の正規の学校だけでなく、JVCが実施する補習学級も一時休止となりました。

シャイール小学校全景 撮影:堀潤(Garden Journalism)シャイール小学校全景 撮影:堀潤(Garden Journalism)

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コロナ禍での活動と近況報告

2021年3月26日 更新

  JVCはスーダンの南コルドファン州カドグリで、教育を受ける機会を失った避難民の子どもたちのために補習学級を運営しています。

  カドグリは長きに渡って紛争を経験してきた地域であり、暴力に頼らない社会を築くためにも教育の重要性が訴えられています。

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コミュニティの生活基盤を守る!
―インフラから分かるカドグリの生活―

スーダン現地駐在員 今中 航
2020年12月25日 更新

子どもたちへの補習学級と並行して、保護者やコミュニティの住民たちとワークショップを開催し、「コミュニティの公共物を守っていくためには?」について話し合いました。

このようなワークショップを開催する背景には、政府や国連、NGOなどの支援団体の援助により設置された施設の多くが、コミュニティによって適切に維持・管理されずに使用されなくなっている事実があります。設置から数年後に使用されずに朽ち果てているハンドポンプ式井戸、しっかりと管理されずソーラーパネルやジェネレータが盗難され機能しなくなった給水施設、ぼろぼろになった学校の机・椅子。

故障し使用されなくなったハンドポンプ式井戸故障し使用されなくなったハンドポンプ式井戸

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武力衝突とCOVID-19による「教育の空白」を埋める!

スーダン現地駐在員 今中 航
2020年12月24日 更新

3月、スーダン教育省は、COVID-19の感染拡大を防ぐ対策として、全国の学校の休校を決定しました。JVCが活動する南コルドファン州の就学率は低く、避難民を中心に多くの児童が正規の学校に通っていないため、今年1月から、学校に通っていない子ども達が一定の学力をつけて正規の学校に編入することを目指し、補習学級を開始していました。しかし、学校の休校を受けて、補修学級も3月中旬から休止せざるを得ませんでした。

その間、テレビやインターネットへのアクセスがなく遠隔教育が難しい避難民を対象に、どういった手段で教育の機会を提供することができるのか試行錯誤していました。州保健省がCOVID-19の啓発活動以外でのコミュニティへの立ち入りを許可しなかったため、啓発活動と一緒に宿題を配布する、コミュニティ内の先生が対面で教える、など様々な案を検討している中、以前報告した通り、JVCの活動地域にて集落への武力攻撃が発生して、子どもを含む多くの住民が避難を余儀なくされたのです。

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カドグリでの武力衝突
―JVCによる緊急食料支援―

スーダン現地駐在員 今中 航
2020年6月17日 更新

前回の記事にて、それぞれ異なる民族から成る武装グループの衝突があり、各集落の住民への攻撃に発展した状況をお伝えしましたが、本記事ではJVCが実施した緊急食料支援について報告します。

避難民への聞き取り@ヘル・ジャディーダ地区

現地の行政機関などによる調査は、事態発生直後の混乱や人の動きが流動的な中で行われることもあり、避難民の登録数などが正確でないこともしばしばあります。活動にあたっては、こうした調査報告書を参考にしつつも、より詳細な状況調査を行う必要があるため、JVCのスタッフがヘル・ジャディーダを訪問し、家族の人数、出身地域、居住地、家の被害、帰還の意思、行政サービス(保健・医療や水)へのアクセス、支援状況、困りごとを含めた聞き取りを実施しました。

JVCが建設した幼稚園に避難している女性に聞き取りをするスタッフのサラ(写真右)JVCが建設した幼稚園に避難している女性に聞き取りをするスタッフのサラ(写真右)
住民と住民リーダー双方から聞き取りを実施するスタッフのイスマイル(写真左)住民と住民リーダー双方から聞き取りを実施するスタッフのイスマイル(写真左)

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