2月になり、遮断された携帯電話網はなぜか復旧しました。ともあれ、これで一安心です。緊急食料支援を終えた私たちは、次の活動に向けて動き始めました。
カドグリでは毎週1回、州政府の人道支援局が中心になり、国連機関やNGO、関係する省庁などが集まって各団体の活動を調整するための会議が実施されています。ほぼ毎回、議論の中心はカドグリ市内をはじめ南コルドファン州内各地に流入してくる避難民対策です。
カドグリ女子中学校。村落部を含め広い地域から生徒を受け入れている会議に出席していたJVCスタッフに、州教育省の担当者が声をかけてきました。昨年11月に女子中学校に食料支援を行った時にお世話になったブリンジさんです。「避難民支援が大事なのは分かるが、今回の紛争で地元の小中学校も影響を受けている。一度見に来てくれないか」
生徒が寄宿する大部屋ブリンジさんが最初に案内してくれたのは、市内の女子中学校、つまり私たちが以前に食料支援をした学校です。ここには自宅から通学する生徒のほか、160人の生徒が寄宿しています。村落部には中学校がないため、親元を離れてここで生活しているのです。
JVCの女性スタッフが彼女たちの部屋に入ると、みなくつろいで談笑したり、髪を結ったりしているところでした。試験前とみえて、勉強している生徒もいます。といっても机があるわけではありません。長いあいだ手入れがされず壁が崩れそうな大部屋に、ベッドが並んでいるだけです。そのベッドも二人がひとつを共有しています。
JVCの食料支援が到着。右側に立っているのは制服姿ではないが女子生徒前回の支援は11月末。すでに2ヶ月以上が経っており、食料はとうに底を突いているはずです。その後は、州政府の給食支援があると聞いていましたが・・
「時々、役所の人がパンや野菜を持ってきてくれるけど、とても足りないわ。この前の週末は、みんな何も食べていないの」と、近くにいた生徒が教えてくれました。ブリンジさんによれば、元々週末は給食の対象外で、学校で生活している生徒は自分たちで食料を調達することになっていると言います。
生徒や教員にJVCの支援を伝える教育省のブリンジさん「前は、両親から少しの生活費を送ってもらっていたけれど・・」と言うのは、2年生のファトゥマさん。カドグリの南西20キロにあるダバカヤ村の出身です。
「紛争が始まってから両親が住む村は反政府軍が占領していて、連絡を取ることもできない」という彼女。途中には軍の検問があり、彼女が村に帰ることも、両親がカドグリに来ることもできないと言います。送金など、できるわけもありません。いやそれ以前に、両親の暮らしが心配です。「無事でいるらしいとは聞いているんだけど・・」
期末試験が終わるまで、あと1ヶ月あまり。JVCは、学校で生活する生徒160人にその間の食料を支援することにしました。
次にブリンジさんが案内してくれたのは、カドグリ周辺の小学校です。
ウム・バタア地区は、カドグリから南に5キロ、食料支援の折にJVCスタッフが何度も訪れた場所です。昨年6月の紛争の後に多くの住民が避難しましたが、戻ってきている人も少なくないようです。元の家主が戻らない家々には、村落部から戦火を逃れてきた避難民が住んでいます。
ウム・バタア男子小学校を訪れると、元気に遊ぶ子どもたちの声が聞こえてきました。生徒数は416人。紛争後の今も、たくさんの生徒が通っています。
ウム・バタア男子小学校の職員室。左側の教員はベッドに座っている校長先生は、JVCスタッフを職員室に案内してくれました。「いま、教員は21名ですが、職員室に椅子が9脚しかありません」
「えっ、本当ですか?」と驚いていると、校長先生は「元々不足していたのは確かですが、実は昨年来、戦闘地域の学校教員がカドグリに避難してきているのです。だから教員の数はむしろ増えて、教員用の備品はますます足りなくなりました」
職員室では何人かの先生が授業の準備をしていますが、よく見ると、先生方が座っているのは椅子ではなく、小さな手作りベッドだったのです。ひとつのベッドに何人かが並んで腰かけていました。
続いて訪れたのは、ハジェラナル男子小学校。カドグリの西5キロほどの郊外です。
ハジェラナル地区は、西側に広がる丘陵地への入口に当たり、カドグリでの戦闘の折には、市中心部を制した政府軍と丘陵地に陣取る反政府軍とが衝突、激戦を繰り広げました。その際に、多くの家々が破壊されたことでも知られています。
木陰の職員室(ハジェルナル男子小学校)「この学校も直接の被害を受けました」と案内役の校長先生が説明してくれました。「男性の職員室は戦闘時に破壊され、今はほら、あそこが職員室です」と指差す先を見ると、木陰に椅子と黒板が置いてあります。「でも、木陰で職員会議をするにも、机も椅子も足りません」
校長先生は、建物の中も案内してくれました。女性の職員室。戦闘時の流れ弾で天井には穴が空き、暑い日差しがスポットのように中まで差し込んでいます。雨季になったら雨が吹き込み、教材や書類が水浸しになってしまいます。
ハジェルナルの小学生。左端にJVCが支援した椅子を積んだトラックが見えるそのほかにも幾つかの小学校を見学し、ブリンジさんとも話し合った結果、教室の机や椅子はある程度充足されていることが分かりました。むしろ不足しているのは「避難教員」も含めた教員用の備品です。私たちは、ウム・バタア、ハジェラナルを含め6つの小学校に椅子と机を支援することを決めました。
それにしても、戦闘による被害が大きかったハジェラナル地区でも、男子小学校には387人の生徒が通っています。カドグリ周辺地区では、住民の多くは戻ってきているようです。いったい、帰還してきた人たちの生活はどうなっているのでしょうか? (つづく)
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