\n"; ?> JVC - わくわくハルツームライフ? - スーダン日記

わくわくハルツームライフ?

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2010年7月28日 更新

スーダンの首都、ハルツーム。みなさん、どんなイメージをお持ちでしょうか。

ダルフール紛争や、それに関するICC(国際刑事裁判所)による大統領への逮捕状、また過去に名指しされた「テロ支援国家」、こうしたイメージから、スーダンに来る前の私は「ハルツームは怖いところ」というイメージを持っていました。しかし実際は、住宅街に宅配ピザのバイクが走り回り、夜中でも女性が独り歩きできてしまう町なのです。

今回の現地便りは、新しい事業を始めるために必要な手続きのため、6月末に南コルドファンから首都に出てきた私の、ハルツーム印象記です。

ウガンダに源を発する白ナイル川と、エチオピア高原の水を集めた青ナイル川が合流する地点にハルツームの町は発達しました。川の両岸を合わせたハルツーム都市圏の総人口は400万とも600万とも、一説には800万とも言われます。総人口がよく分からないのは、南北内戦の中で、或いは今も続くダルフールの紛争の中、ハルツームに流入してきた国内避難民の数の把握が難しいという理由もあるようです。その数は「最低100万人」「いや200万人以上」とも言われますが、ハルツームが世界でも稀な、紛争による大量の避難民を抱える巨大都市であることには間違いありません。

こうした避難民の居住地は郊外に広がっており、私が滞在した中心部とは距離も離れていて、その光景を目の当たりにすることはありません。中心部はと言えば、官庁やオフィス、銀行、ホテルが集中し、あっと驚く(失礼!)総ガラス張りのモダンなビルも目にします。あちこちで新しいビルの建設が行われ、ちょっとした建設ラッシュの様相です。

周辺に広がる住宅街には瀟洒な家も多く、高層(と言っても5階建て程度)マンションも立ち並んでいます。おしゃれなカフェやブティックが軒を連ね、トルコ資本のショッピングセンターもあります。その中の映画館ではハリウッド映画が上映され、フードコートでは若者がハンバーガーをパクつき、スーパーマーケットには欧米の食品が溢れています。手に入らないのは酒くらいでしょうか(イスラームの教えのため)。

素敵なサンドイッチ屋を見つけました。「Zinc」という名前で、ブリキ板(Zinc Sheets)を壁面に使ったスタイリッシュな内装が印象的な店です。新鮮な野菜とハム、チーズをはさんだサンドイッチが美味しくて、何度も通ってしまいました。メニューは英語。お値段は、私の大好きなグリルチキンサンドは9スーダンポンド(約400円)。いったいどんな客が来るのかと思えば、外国人も時々顔を見せるものの、大半はこの界隈に住むスーダン人のようです。クルマで乗り付け、テイクアウトでハンバーガーを買って行く客もいます。

「Zinc」の陽気なスタッフ。全員英語を話すが、実はスーダン人ではなくエリトリア人「Zinc」の陽気なスタッフ。全員英語を話すが、実はスーダン人ではなくエリトリア人

「Zinc」を出ると、向かいはアイスクリーム屋「Cone Zone」です。思わず誘惑に駆られてチョコチップ・アイスを食べてしまうと、これが8スーダンポンド(約350円)。ここでも、地元のご婦人たちが談笑しながらアイスを舐めているのを見かけます。

この界隈に滞在していると、首都ハルツームには少なからぬ中産階級が存在し、しかも急速に増えていることを実感します。石油収入のためか、カネはあるところにはあるという印象です。ハルツームから見て「辺境」にあたる南部では長い内戦の末に社会インフラはほぼゼロからの復興が始まり、ダルフールでは紛争が続き、私たちが活動を始めた南コルドファンでも未だに内戦後の混乱が尾を引いています。その中で、首都ハルツームは治安の心配もなくビルの建設ラッシュが進み新たな中産階級が生まれている。いや、実はハルツームの中でもそれは一部で、郊外にはそうした「開発」には縁のない国内避難民の住居が広がっているのでしょう。ひとつの国の中で、或いはひとつの都市の中で、そんなにも違うものなのか。それとも、世界の縮図と言うべきか。

ハルツーム屈指の観光名所、国立博物館ハルツーム屈指の観光名所、国立博物館
博物館では、ナイル中流域に紀元前より栄えた王国の遺跡(一部)を見ることができる博物館では、ナイル中流域に紀元前より栄えた王国の遺跡(一部)を見ることができる

アイスクリームを食べて複雑な気持ちになる、ハルツーム滞在でした。


この活動への寄付を受け付けています!

月500円からのマンスリー募金で支援する

今、日本全国で約2,000人の方がマンスリー募金でご協力くださっています。月500円からの支援に、ぜひご参加ください。

郵便局から募金する

郵便局に備え付けの振込用紙をご利用ください。

口座番号: 00190-9-27495
加入者名: JVC東京事務所

※振込用紙の通信欄に、支援したい活動名や国名をお書きください(「カンボジアの支援」など)。
※手数料のご負担をお願いしております。

JVCは認定NPO法人です。ご寄付により控除を受けられます(1万円の募金で3,200円が還付されます)。所得税控除に加え、東京・神奈川の方は住民税の控除も。詳しくはこちらをご覧ください。

遺産/遺贈寄付も受け付けています。詳しくはこちらのページをご覧ください。