ウドゥ村の小学校終業式に招待された私たち3人(私と現地協力団体NMIADのスタッフ2人)が会場に到着すると、既に多くの村人が集まっていました。なかなかの熱気です。
イスラームのお祈りのあと、女子生徒の歌と踊りで式は始まります。

何曲も続けて歌っていますが、いったいどんな歌なのでしょう。通訳をしてくれているNMIADスタッフに尋ねると、スーダンを讃える歌、独立記念の歌、そして中にはこんな歌もありました。
― ヌバとアラブがカドグリ(州都)で出会って、みんな仲良く平和に暮らしましょう
前回の記事にも書きましたが、「ヌバ」(アフリカ系)の人々と「アラブ」系住民は南コルドファン州の二大勢力。決して敵対している訳ではありませんが、地域によっては、農耕民のヌバとアラブ系牧畜民が家畜の移動ルートやえさ場を巡って対立する例もあります。でもまさか、「仲良くしましょう」なんて小学校で歌っているとは知りませんでした。ちなみに、この村の人々は「ヌバ」です。
歌と踊りの後は、生徒たちのゲームの始まりです。写真をご覧下さい。




実は、この終業式は学芸会+運動会のようなものだったのですね。椅子に腰かけて見物している私たちの後ろはいつの間にか黒山の人だかり。200人くらいの村人が集まっているでしょうか。若者から年配層、女性も男性も、みな大笑いでゲームを楽しんでいます。
ゲームの後は、スピーチ。PTA会長に続いて、前回の記事でご紹介した村のリーダー(この地方ではウムダと呼称される)の登場です。
ウムダは、学校に行けなかった幼少時の自分の経験を話しながら、村人に「子供に家の手伝いや家畜の世話ばかりさせてはダメだ。ちゃんと学校に通わせよう」と訴えていました。
さて次は誰の番かと思って観ていると、いきなり「アンタの番だよ」と言われてびっくり。そんな、いきなり・・でも、たくさんの村人に自己紹介をするいいチャンスです。ありがたく引き受けて、村人の前に立ちました。
まず最初に、覚えたばかりの村の言葉で挨拶。
「ケゲエ!」(How are you!の意)
これでみんな爆笑。ヌバには全部で50もの言語があると言われますが、この村の言葉もそのうちのひとつです。でも、村の言葉はこれで打ち止め。あとは英語で話し、学校の先生に村の言葉へと通訳してもらいました。

JVCの自己紹介を手短かにした後、「皆さんが、この村での暮らしを良くしようと頑張っているのを聞いて、少しお手伝いをさせてもらうことになりました。今後、たびたび村に来ると思うので、どうぞよろしく」と挨拶。みんな、静まり返って聞いてくれています。特に、女性たちが真剣な表情で聞いてくれていたのが印象的でした。
最後に校長先生のスピーチが終わると、成績表の授与。生徒が一人ずつ呼ばれて校長先生から手渡されます。みんな、どんな成績だったのか?でも、成績を見て特に一喜一憂するでもなく、みんなあんまりこだわってないのか!?

これで学校の1年は終わり、3ヶ月近い休暇に入ります。「雨季に入ってこれからは畑仕事も忙しくなり、子供たちも手伝わなくてはいけない。だからこの3ヶ月の休みは、ちょうどいいんだ」と先生が教えてくれました。

ところでこの学校、生徒は100人強。1年生から6年生までが学んでいますが、小さな教室が三つしかありません。教室が使えないクラスは、木陰で授業をしています。「雨が降ったら」と聞くと「授業は休み」。
終業式のスピーチでは、PTA会長もウムダも校長先生も、みな「子供たちが落ち着いて勉強できるように、きちんとした校舎を作りたい」と口を揃えていました。「教室作りのために、村ではレンガを焼いて準備しているんだ」とウムダは言っています。
しかし、村の学校はここだけではありません。ここはアラビア語学校ですが、そのほかに英語学校もあります。英語学校もまた、雨や風が吹き込む草葺の仮設校舎で運営されています。この地区の学校校舎をどうするか、今後じっくりと村の人たちの意見を聞いてみる必要がありそうです。

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