さて、前々々回お伝えしました有機堆肥と液肥のその後です。前回、前々回の記事内でお伝えしましたトボワニさんとサルミナさんはいずれもモニタリングの中で有機堆肥はつくっておらず、今も鶏糞を利用していらっしゃることがわかりました。また、先日、駐南ア日本大使館の方が事業地を訪問してくださった際、シャンガナニ・タウンシップの菜園も3ヶ所ほど訪問したのですがいずれも有機堆肥はつくられておらず、ここでは鶏糞や牛糞も使われていません。唯一、このとき訪問した、パートナー団体LMCCの高齢者ケアボランティアのフローレンス(Florence)さんだけがつくっていらっしゃいました。
が~ん・・・。10月の研修時には全員が「今後有機堆肥をつくります!」と宣言していたのに、この状況をどう捉えたらいいのでしょうか。トレーナーのアベルとフィリップと話し合いました。
「ボドウェ村はもともと自分たちである程度農業をやっていて、その中で牛糞や鶏糞を使っている。文化的にもそれが定着しているならばそれでもいいのでは。ここで有機堆肥を推す必要性ってどういうことがあるのかな?」
「タダで牛糞が手に入るならいいけれど、彼ら買っているんだよ。特にトボワニさんのところは見たと思うけど菜園に影ひとつない。これからますます陽が強くなったら土が焼けてしまうよ。他にもメリットがあるしやっぱり伝えていったほうがいいと思う」
「わかった。じゃあシャンガナニは?タウンシップで家畜も見ないし、鶏糞や牛糞を得ることすら難しいじゃない?そういう中で今回研修でやったような有機堆肥のつくり方だと難しくない?水もある程度必要だけどボドウェ村と違って雨も滅多に降らないし」
「う~ん、確かにそうかも。でも雨が降らないからこそ、使うんだったら牛糞・鶏糞よりも有機堆肥じゃないと・・・」
「そうか・・。でも村の中で材料揃わないよね?あ、じゃあミミズ・コンポストは?あれだと牛糞とかいらないし、スペースとらないから敷地が狭いシャンガナニにもいいかも?」
「確かに!最初から紙とか野菜クズとか入れるだけだからシャンガナニにはそっちのほうが合うかもしれない。村ごとに方法変えたほうがいいかも。後は、紙だけ土に入れる方法もあるし、コンフリーみたいに栄養価に富んだ薬草を土に入れて堆肥にするという方法もある」
「でもやっぱりいいこととはいえ、その後ボドウェで一人しかつくっていないってことも気になるんだけど。伝え方を考えていったほうがいいのかな?」
「たとえば?」
「たとえば、有効性を伝えるにしても口頭でアドバイスするだけだと長年親しんできた方法は変えない人が多いと思う。そういうとき(以前の事業地のトレーナーだった)ジョンの場合、関心がなさそうな人のところでは、あえて一畝だけ有機堆肥を土に入れて、後で他の畝と比べて絶対違いが見えてくるからって言って、取り入れたい技術があるときは、研修生がその有効性を実感できるように工夫していたかなぁ」
「それはいいアイディアかも。じゃあ、それを今あんまり菜園の状況がよくない人のところでやってみるのはどう?」
「でもそれだとやる気のある人の気持ちを阻害してしまわない?逆にやる気のある人のところでやって成果出してもらって周囲の関心をひいていくっていうのは?」
「それだと贔屓しているとかって言われかねないから難しいよ」
「じゃあ、全員のところでやってみる?今のところどうせそんなに人数多くないし」
「そうしよう」
「でもそもそも、確かに研修生たちは10月の研修後に『有機堆肥つくる』とは言っていたけれど、水とか湿度がある程度必要なのに今年はつい最近まで雨が降ってなかったし、有機堆肥をつくり始めるのにあまりいい時期とも言えなかったよ。だから、これから雨が降って、雑草も生えてきたら『利用してやってみるか』って思う可能性もあるし、これからがつくるのにちょうどいい季節だよ。今はちょうど雨が降り出してメイズを植えるのに忙しいし、これまでつくっていないのも仕方がないとも言えると思う」
なるほど。農業は時間がかかるから、長いスパンで考えないといけないですね。村の人たちの生活に合わせて、焦らず、ゆっくり、変化を見ていきたいと思います。
私たちの現地のプロジェクトはこんな風に小さな会話(そこに事業対象者自身が参加することも多くあります)と実践によって、お互いに学びあいながら形作られていきます。