ドロップ・イン・センターのボランティアたちを対象に8月に行った「Pshycosocial Training(カウンセリング研修)」で研修講師団体のFAMSAより「子どもをケアするボランティアたちが知っていることはとっても大切だから」と提案された「メモリーボックス」づくり。10月16~18日、13名のボランティアが参加して、そのワークショップを行いました。
「メモリーボックス」とは、大人が主に子どもたちのために自分が死んだ後に必要な情報を入れておく箱のことです。例えば、自分の人生や家系のこと、親戚で子どもたちの世話をしてくれる人のこと、あるいは世話をしてくれる人に向けてもし子どもが病気を抱えて薬を飲んでいたりすればそうした情報も入れておきます。エイズで若い人が亡くなりがちな南アではとても大切なことで、特に貧困を抱えた家庭などでは、子どもたちが身寄りのないままにならないようにする役割も果たしてくれます。これをまずはボランティアたち自身が作ってみようという企画です。
ワークショップは、「何でこの箱を用意しておくことが大切だと思う?」かを自分たちで考えることから始めて、その後で実際の箱づくりを行いました。
箱をつくる意味を考えるなかで、ボランティアたち自身の経験も共有されました。
「昔、近所の女性が病気だったのだけど、亡くなる際に子どもたちに自分の死後は親戚である自分の姉に面倒を見てもらうように伝えていたし、私もそれを聞かされていたの。それで子どもたちはお葬式のときに『自分たちはこのおばさんに面倒を見てもらうようお母さんから聞いた』と親戚の大人たちに伝えたけれど、彼らのおじさんの一人が子ども手当てほしさに子どもたちを連れて行ってしまったの。母親からのメッセージはどこにも書かれてなくて口頭で伝えられただけだったから、私もどうすることもできなくて困ったわ。でもそのおじさんがきちんと面倒を見ずに子どもたちが病気になっていってしまったから、結局おばさんのところに戻ってくることができた。口頭で伝えられたことというのは、その人が亡くなったときに証拠にもならずに難しいということを実感したわ。ちゃんと書いて、証人にも署名してもらっておくとかすることが必要だと思う」
大変説得力のある話で、こういう話を聞くと、南アの社会的な状況や子どものおかれた状況がよく伝わってきて、メモリーボックスの大切さがよくわかります。他のボランティアたちも納得したようでした。
今回ボランティアたちが作った箱は自分たちの子どもたちに残されていきます。そして活動としては、村で子どもの家庭訪問をしたときにお母さんなど子どもの家族に伝えていったり、あるいはセンターの子どもたちに楽しみながら教えて、子どもから親に伝わっていくことを目指しています。
私も自分だったらどんな中身になるのかなと考えてみました。メモリーボックス、皆さんも一度つくってみてはいかがでしょうか。