2022年8月5日に発生したイスラエル・ガザの攻撃を受け、JVCでは、2022年8月11日付で、停戦継続に向けた共同要請文を発表しました。

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こんにちは、JVCパレスチナ事業です。

昨年5月に発生したガザ空爆から1年が経ちます。昨年ほど大規模ではないものの、4月のラマダン(断食月)に入った頃から東エルサレムやヨルダン川西岸地区のいくつかの都市では、イスラエル治安部隊とパレスチナ市民との衝突、それに対するパレスチナ人の不当逮捕などが相次いで発生しました。今年は、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教の宗教行事や祝祭が4~5月にかけて重なり、今週は「ナクバの日(※1)」(5月15日)も控えるなか、現地では少し緊張が高まりつつあります。

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(写真:ラマダン中のエルサレム旧市街の様子。日没後の食事や買い物を楽しむパレスチナ人(イスラム教徒)の傍らには、銃を持ったイスラエル兵士がいます(右奥)。2022年4月9日木村万里子撮影 @エルサレム旧市街)

その最中、今週の水曜日(5月11日)パレスチナ北部のジェニンという街で、アメリカ国籍のパレスチナ人でありアルジャジーラの記者であるシリーン・アブ・アクレさんが銃撃され亡くなりました。
ジェニンでは最近イスラエル兵とパレスチナ人武装グループの衝突が頻発し、複数の死者がでており、その取材に入ったところでシリーンさんは銃弾に倒れました。
彼女はヘルメットをかぶってPressと大きく書かれたベストを着ており、彼女が撃たれたのは耳の下のあたり、ちょうどヘルメットでカバーされていない部分でした。イスラエル側は、同じ時間帯にジェニンで起こっていた銃撃戦のビデオを公開し、パレスチナ人武装グループによるシリーンさん殺害の可能性を示唆していますが、彼女に同行していた他の記者や近くにいた人たちは、その時周囲に武装したパレスチナ人はいなかったと証言しています。また、その位置関係についてイスラエルの左派NGOであるベツレム(B'Tselem)が分析した結果、公開されたビデオからはパレスチナ人武装グループが彼女を撃ったとは考えにくいという結論が出ています。

一方イスラエル政府は、パレスチナ人武装グループがシリーンさんを撃ったと主張し、調査を表明しましたが、パレスチナ政府はイスラエル政府による調査ではなく、ICC(国際刑事裁判所)に調査を依頼する意向です。

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(写真:家屋収奪反対とシェリンさんの死の真相究明を求めるデモを行うパレスチナ人(右)とその様子を見るイスラエル兵士(左)。2022年5月13日木村万里子撮影 @シェイク・ジャラ地区)

彼女はジャーナリストとして、パレスチナ人だけでなくアラブ諸国の人びとに大きな影響力がありました。2000年の第二次インティファーダ(※2)をはじめ、現地で起こっている事実を広く世界に伝え、パレスチナ人の声なき声を代弁し、アラブの人びとから絶大な信頼を寄せられていたこともあり、とても多くの人が彼女の死について投稿したり、葬儀に参列しています。しかしシリーンさんの遺体の送致や葬儀の間ですら、イスラエル兵と警察が集まったパレスチナ人に対して、国旗を奪う名目(※3)で過剰に攻撃を加えたり、逮捕するなどしました。

ジャーナリストを殺害することは国際法違反ですが、それ以前に武器も持っていない一般人を撃つこと自体が犯罪であり、私たちはいかなる暴力にも反対し、ICCを通じた公平な調査による真相の究明を支持します。そして、二度とこのような尊い命が理不尽な形で奪われないように、真相究明後のしかるべき責任が明らかにされ、その責任が果たされることを求めます。

最後に、パレスチナ人の悲しみに寄り添い続けたシリーンさんのご冥福を心からお祈りしています。彼女が51年の生涯をかけて伝えたかったパレスチナの現状や人びとの声、悲しみ、怒りがより多くの人たちに届くことを願ってやみません。

* * *

(※1)ナクバの日: ナクバとはアラビア語で「大災厄」を意味するが、1948年5月15日、イスラエル建国によりパレスチナ人が住んでいた土地を追われて難民となった日を指す。

(※2)イスラエルがパレスチナを軍事占領していることに対して行われたパレスチナ人による民衆蜂起。

(※3)イスラエルの法律において、パレスチナの国旗を掲揚することは明確に違法とはされていませんが、エルサレムではパレスチナの国旗を掲げることで逮捕される例が後を経ちません。

こんにちは、JVCエルサレム事務所の山村です。

2018年3月30日、パレスチナにおける「土地の日」からガザで始まり、西岸でも行われた難民の帰還を求める大規模抗議デモ「帰還の大行進」は、イスラエル建国による難民発生を記憶しパレスチナ側で「ナクバ(大惨事)の日」と呼ばれる5月15日まで続き、その後も小規模で続けられています。

5月14日の1日だけでも、デモへの参加者は4万人にのぼるとされています。イスラエル側による銃撃等で、この日の死者は60人を超え、封鎖の影響により病院で医薬品や設備が不足しているために負傷者は適切な処置が施されず、手足の切断を余儀なくされるケースも多く出ています。国際社会からの非難が集まっているのにもかかわらず、イスラエル側は武力による鎮圧の手を緩める気配はありません。

この人道的に見過ごすことのできない状況に対し、JVCと東エルサレムでの活動を共に続けてきた現地NGO「パレスチナ医療救援協会(PMRS)」が即時報告をリリースしました。 5月14日付で届いたその報告内容をご紹介したいと思います。

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岡本議員と谷合議員に資料を渡す今野岡本議員と谷合議員に資料を渡す今野

先月30日、パレスチナを訪問されている公明党の岡本三成参議院議員と谷合正明参議院議員にお会いする機会を頂きました。

この機会を生かして、JVCが、紛争地に現場を持つ人道支援団体として安保法制に反対であることを議員お二人にお伝えし、「非戦ネット」の安保法制に対する抗議文、パレスチナ現地に駐在する私と金子の安保法制に反対する意見を述べた文章、代表谷山博史編著の『「積極的平和主義」は、紛争地になにをもたらすか?!』のチラシなどをお渡ししました。

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韓国ソウルの空港で、テルアビブ行きの飛行機に乗る観光客。韓国ソウルの空港で、テルアビブ行きの飛行機に乗る観光客。

イスラエルの玄関口ベングリオン空港は、入国審査が厳しいことで知られています。それでも、被占領パレスチナの状況が以前よりも平穏なため、数年前よりは入国審査が楽になり、入国拒否をされる旅行者も減ったようです。

しかし先日も、デンマーク国籍をもつパレスチナ人難民2世が、入国審査で数時間拘束されたうえ、入国拒否でデンマークに送還されたそうです。そして、占領下のパレスチナ人の生活を守るために日々働いている国際人道支援団体の職員も、その例外ではありません。

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2012年6月11日、対パレスチナ暫定自治政府日本国政府代表事務所にて、策定中のパレスチナ国別援助方針に関し、 口頭にてその内容について説明を受けました。

JVCエルサレム事務所からは同事務所に対し、質問および要望を伝えました。

以下のページで詳細をご覧ください。
「国別援助方針について」