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パレスチナ人とイスラエル人が、市民同士で繋がることの意味

2018年度パレスチナインターン 大川 梨恵
2018年8月30日 更新

パレスチナ事業インターンの大川です。現地にインターンとして来てから3週間が経過しました。この前まで、こちらは犠牲祭だったため、みんなそれぞれ実家に帰ったりして家族団欒を過ごしていたようです。犠牲祭の期間はバスなどの交通手段も普段より格段にも少なくなっており、こうやって祝日はみんなしっかり休むところがアラブらしくていいなあと感じています。

先日、パレスチナ人とユダヤ人が対話をするイベントに参加しました。 そのプログラムはJVCのアドボカシー事業のパートナー団体であるCFJ(Center Freedom and Justice) と、その団体に協賛しているフランスのNGO団体(Sulfa)が行なっています。

参加者は100名ほどで、パレスチナ人が半数、イスラエル人とその他のユダヤ人(アメリカ系ユダヤ人が大半)が半数くらい参加していました。

このイベントの目的は「政治的なことを抜きにして、対等な立場で対話をすること」。

実際話し合うテーマは「今までの人生で自由がなく辛かった出来事は?」「自由だと感じるときはどういう時か?」など、個々人の悩みや考え方を反映するような質問でした。

グループごとに分かれディスカッションをするイベント参加者グループごとに分かれディスカッションをするイベント参加者

このイベントに参加していたユダヤ人の多くは、イスラエル人ではなくアメリカやオーストラリアルーツの方が多かったように見受けられました。 外の世界を知っているからこそ、現状に対して悩んでいるようでした。

「全ての人は自分の家族だと思っている。だからその家族に自由がないと思うと何も楽しむことができない」
「私たちの大統領が私たち国民を代表していると思わないでほしい」

ユダヤ人の多くの方が、「私たちはパレスチナの人々が常に危険にさらされているこの現状が本当に辛い」「自分たちこんな現状を望んでいない」と言っていました。

一方で、パレスチナ人の多くから「刑務所に3度も入れられた」「仕事を選ぶ権利も自由に情報を発信する権利もない」という、不自由な現実に対する声が多く上がっていました。パレスチナ人はユダヤ人と違い自国が封鎖・占領をされているため、精神的な苦痛はもとより、実際問題、仕事面や健康面、生活面でもかなりの不自由を被っていると痛感したセッションでした。
イベント自体は終始穏やかでしたが、正直、ここに参加している人々は内心何を考えているのだろうか、とも思ってしまいました。このイベントは本当にパレスチナ人のためになっているのだろうか、ただの偽善的な場で終わってはいないのだろうか、と。

イベント最後の締めはみんなで手を繋ぎ輪になってダンスイベント最後の締めはみんなで手を繋ぎ輪になってダンス

それは帰り道、家まで送ってくれたパレスチナ人のおじさんたちととある外国人参加者Aの会話で明らかになりました。以下、会話です。

男性
「今日の会合、どう思った?」

参加者A(以下、A)
「パレスチナ難民支援のために来たけど、今日初めてユダヤ人と会ったり話したりして、ちょっと考えさせられた。でもやっぱり正直、ユダヤ人側に打算があるんじゃないかとか色々思ったりしちゃった」

男性
「そうだよ、あいつらは打算で来てる。君たちみたいな外国人に、『自分たちは平和について考えてるんです!』と見せるためだよ。実際あなたは会合の時に『ユダヤ人も同じ人間だと感じた』と言ってただろう、それが狙いだよ。あいつらは平和なんて望んでなんてない。イスラエル兵が国中にいて、イスラエル側に行くためには検問所があるのに、パレスチナ人兵士は全然いないだろう。それに、あいつらは好きにパレスチナに入国することができる。どっちの方が強いと思う?イスラエルとパレスチナ」

A
「...イスラエル」

男性
「そうだ、イスラエルだ。あいつらは平和なんて望んでない。この国の土地を全て奪いたいんだ。俺たちパレスチナ人は全員追い出される。君が行ったことのあるヨルダンでもパレスチナ人をたくさん見ただろう?ああなるんだ」

A
「じゃあどうして今日来たの?みんな」

男性
「俺たちはこういうイベントに毎回来てる。検問所も、家を追い出されることも、全部全部もう嫌なんだ。もうこれ以上はこりごりなんだよ。だからこういうイベントにも行くんだ。少しでもこういうことを訴えるチャンスが欲しいんだ」

彼らの言葉が忘れられません。このイベントを通じて一番の収穫だったようにも思います。

イスラエル人とパレスチナ人が単に対話をするとなると、どうしても占領者と被占領者という立場になり対等ではなくなってしまいます。こうやって、わざわざ「政治的な話は抜きにして、対等に話しましょう」という場を設けなければ対等に話すことができないくらい、ここの人々の関係に占領が深く根付いているのです。

いつかこうした市民同士の繋がりが力になることを信じて、今は関わっていくしかないのだろうなと思います。まずは、お互いを知るところから。どんなに違和感を感じても、両者がお互いを知る場を持てないこの現状では、この活動は矛盾を抱えながらも継続して行くしかないのだと思います。そして、この現状のおかしさに気づく人が増えていくことを願っています。

※1JVCは本活動に関してはCFJとパートナーシップを組んではいません。

※2一応、イスラエルの法律でもパレスチナ自治区のエリアに入ることは禁止されています。

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