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JVCパートナー団体の救護員が救命活動中に、イスラエル当局に狙撃・殺害されました

パレスチナ事業担当 並木 麻衣
2018年6月 5日 更新

こんにちは、JVCパレスチナ事業です。

3月30日より、パレスチナのガザ地区では、イスラエルとの境界沿いでの抗議活動が毎週末行われています。これは、もう70年もの間、難民として故郷に帰れずにいるパレスチナ難民たちの帰還権を訴えるものであり、ひいてはガザの人々から生きる手段も希望も奪い尽くしているイスラエルによる封鎖に抗議するものです。

非武装の市民による抗議活動に対し、イスラエル当局は実弾も含めた武力で応じています。これにより、これまでに121人のパレスチナ人が殺されており、13,000人以上が負傷しています※注(1)。その中にはジャーナリストや医療従事者、子どもも含まれており、6月1日には私たちが10年以上も活動をともにしてきたパートナー団体「パレスチナ医療救援協会(PMRS)」のボランティア救護スタッフが、銃弾を胸に受けて亡くなりました。黒煙が上がり、周囲で次々と人が撃たれていく抗議運動の現場の中で、まだ21歳の彼女が負傷者を救助するために、白い手袋をはめた手をまっすぐに挙げて駆けつけようとしたときのことでした。

傷ついた人々を救う医療従事者への攻撃は国際法違反であり、どのような理由によっても、断じて許されるものではありません。これまでにガザで起こった武力侵攻や戦争でも、イスラエル当局による医療従事者への攻撃は幾度となく繰り返され、事後の調査レポートでもその問題が指摘されてきました。

このような理不尽なことは、もう二度と繰り返されるべきではありません。JVCは彼女を追悼するとともに、3月から続く抗議活動におけるイスラエルの過剰な武力行使を非難します。また、この間の犠牲について、国際人権理事会による調査が滞り無く行われ、責任の所在が明らかにされた上で、その責任が果たされることを求めます。

またJVCは他NGOと協働し、日本政府へアクションを求める声明文を準備しています。結果については、追って報告させていただきます。

また、JVCは6/20世界難民の日にフォトジャーナリスト佐藤慧さんのパレスチナ取材報告トークイベントを開催します。多くの方にパレスチナについて知っていただけたらと思います。(取材は2018年2月のことです)
世界難民の日「遠くて近い、パレスチナ」

PMRSからは、彼女の死を悼む緊急声明が届いています。以下、訳文とともにご紹介します。

声明「PMRSボランティア救護員がイスラエルの狙撃により殺された昨日の事件について」
パレスチナ医療救援協会ムスタファ・バルグーティ代表による緊急声明

2018年6月2日 パレスチナ・ラーマッラー発

本日、パレスチナ医療救援協会(the Palestinian Medical Relief Society、PMRS)は、私たち自身の仲間の死を悼みます。昨日(6月1日・金曜日)、21歳のボランティア救護員ラザン・アルナッジャールがイスラエル兵に撃たれ、亡くなりました。彼女は負傷した抗議活動の参加者に対し、応急手当を施そうとしていたところでした。彼女は胸を撃たれ、銃弾は彼女が医療従事者であることを示す白いベストの赤い紋章とPMRSのロゴマークを引き裂いていました。

昨日は他にも、PMRSで働く3人の救急救命士が実弾で負傷しました。ラーミー・アブージャザール、マフムード・ファアウールとマフムード・オウデです。4月29日からの総計で、イスラエル当局は223人の医療従事者を傷つけており、29人は実弾を受けています。

医療従事者を狙撃することは、子どもやジャーナリスト、非武装の市民を撃つのと同様に、ジュネーブ条約における戦争犯罪です。

私たちはイスラエルによるガザでの人道法違反に対し、国際社会が直ちに反応することを求めます。私たちはまた、海外の友人たちやパートナーに対し、ラザンの殺害を公に非難し、国際法に則ってその犯罪の責任を負うようイスラエル当局に要求することを呼びかけます。

この痛ましい時間のあいだ、私たちは彼女の家族や同僚とともに深い悲しみに暮れています。当地にいるパートナーの皆さん、明日(6月3日・日曜日)の12時にラーマッラーのマナーラ・サークルで行われる集会に参加し、ラザンの記憶をたたえ、そしてガザでの血にまみれた抑圧を終わらせるよう求めてください。また同日3時から7時まで、アルビーレにあるPMRS本部において、彼女へのお悔やみを受け付けています。

ラザンさんの写真:PMRS提供ラザンさんの写真:PMRS提供
彼女が着ていた血まみれのベスト:PMRS提供彼女が着ていた血まみれのベスト:PMRS提供

<以下原文>

URGENT STATEMENT by Dr. Mustafa Barghouti, President of PMRS
PMRS volunteer medic killed by Israeli sniper in Gaza yesterday

Ramallah, Saturday 02 June 2018

Today the Palestinian Medical Relief Society mourns the loss of one of our own. 21-year old volunteer medic Razan Al Najjar was shot and killed by an Israeli sniper yesterday in Gaza as she was attempting to provide first aid to an injured protester. She was shot to the chest, the bullet ripping through the white vest with red emblem and PMRS logo that was marking her as medical personnel.

Yesterday, 3 other PMRS first aiders were injured by live bullets: Rami Abu Jazar, Mahmoud Fa'wur and Mahmoud Odeh. In total, Israel has injured 223 paramedics since the end of April, 29 of them with live ammunition.

Shooting at medical personnel is a war crime under the Geneva conventions, as is shooting at children, journalists and unarmed civilians.

We demand an immediate international response to Israeli humanitarian law violations in Gaza. We call on our international friends and partners to publicly condemn Razan's killing and to demand that Israel be held accountable for its crimes under international law.

We grieve with her family and our colleagues in Gaza during this tragic time. We ask our partners who are in the country to please join us tomorrow at 12pm at the Manara circle in Ramallah to honor Razan's memory and demand an end to the bloody oppression of Gaza. We will be receiving condolences later that day from 3 to 7pm at the PMRS headquarters in Al Bireh.

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※注(1)アルジャジーラのまとめ記事による(2018年6月4日現在)

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