「ダーイシュ(IS)は断じてイスラーム教徒じゃない。彼らはマフィアだよ」
パレスチナに滞在しているこの1ヶ月半で、イスラーム教徒たちから何度この言葉を聞いたか、私ははっきりと思い出せません。お土産屋のお兄さん、カフェのオーナー、敬虔なムスリムのおじちゃん、NGO職員.........。そして今日も、ガザで同じ言葉を聞いたのでした。
「イスラームはね、人に改宗を強要することは許していないわ。どの宗教を選ぶかは、一人ひとりがアッラー(神様)と対話して決めることよ。女性がヒジャーブ(スカーフ)を被るどうかも同じこと。一人ひとりが神様と向き合って決めればいいの。それが本当のイスラームよ。押し付ける人は、本当にイスラームの教えを実践している人とは言えないの。
それに、イスラームは人の命を奪うことを禁じているわ。だって命は神様がくれたものだもの。動物の命をいただく時だって、水を飲ませたり、苦しまないように注意を払ったりするから、ハラールのシステムがあるのよ。
それなのに、ダーイシュは人の命を自分勝手に奪うでしょう。異教徒は特にそう。そんな彼らにイスラームを語る資格はないわ」
ガザ市の住宅街、女性たちがお茶を飲みながら語る午後のひととき。イスラームのあるべき姿をじっくり話してくれた友人の傍らで、別の友人が付け加えました。
「ダーイシュはただのマフィア。むしろアメリカが裏で手を結んでるんじゃないかって、皆が思ってるのよ」
また別の日は、東エルサレムに住むパレスチナ人の友人が、こんなことを語っていました。
「ダーイシュによって世界中のイスラーム教徒の名誉が傷つけられていることが、僕は本当にくやしい。君の立場でいえば、例えばこういうことだ。ある日本人の集団がどこか他の国で何度も殺戮行為に走って、『自分は日本人だ!』『これは日本のためだ!』『これが日本のあるべき姿だ!』って声高に叫んだらどうなる? 自分たちはそうじゃないのに、たった一部の異端な人々だけなのに、って、君は悔しく思うだろう?」
ヨーロッパで、中東でIS絡みの事件が起こるたびに、ムスリムである私の友人たちは悔しそうな顔で「マイ、ニュースを見たかい? 本当に許しがたいよ」と言います。そんな彼らに「うん、悔しいね。世界はおかしいよね」と答えながら、私は自分の大学時代のアラビア語の先生が卒業の際に贈ってくれた、まさにこの情勢に寄り添うかのような言葉を思い出しています。
「アラビア語を使う仕事に就かなくてもいいのよ。もし社会が、身の回りの誰かが、『イスラームって危ない』って言い出したとき、『それは違う』って言えるだけで、あなたたちが中東のことを勉強した価値は十分にあるんだから。」
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