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体育の先生が話す、「パレスチナ問題の解決方法」

パレスチナ事業担当 並木 麻衣
2015年5月28日 更新

こんにちは、パレスチナ事業担当の並木です。
今回は、パレスチナへ出張した際に出会った、ある学校の先生のお話をしたいと思います。

日差しが強く感じられる4月のある日、東エルサレムの男子校を訪ねた時のことです。学校の環境整備を自ら行う学生たちの活動を視察に来た、私たち日本人を前に、一人の体育教師が堰を切ったように話してくれました。

話してくれた先生の手元話してくれた先生の手元

「ここは、元々は家だったところを学校にしたんだ。東エルサレムでの教育は非常に難しい状況に直面していて、学校の敷地が足りない。
ここには多くの国から沢山の支援が届いているよ。電気はベルギーの支援だし、コンピューターは日本の支援で設置された。物資はどんどん届く。でも、モノが増えたって、学校の敷地は小さいままだ。教室も小さいまま」

東エルサレムの人々は、イスラエルが建設した分離壁の影響で分断され、パレスチナ自治政府からもイスラエル政府からもサービスを受けることができません。また、イスラエル政府は東エルサレムに住むパレスチナの人々に対し、「法律に違反している」という理由で、住居の空け渡しや破壊を命じ、新規建設や既存の建物の補修を禁じています。

先生の言葉からは、そういった東エルサレムの事情への深い憤りが感じられました。彼はこう続けました。

「支援はありがたい。本当にそう思う。でも自分は、これらの支援は本当の"解決策"ではないと思う。イスラエル政府が(東エルサレムに住む)私たちに学校の建設や拡張、補修を禁じているから、東エルサレムでの子どもたちの教育は、どんどん難しくなっていく。本当に国際社会にして欲しいのは、各国政府がイスラエル政府にプレッシャーをかけることだ。もちろん、日本政府も。
だいたい、私たちには新しい学校がもっと必要なのに、どうして許されないんだ? イスラエルは学校を次々に建てているのに、どうしてパレスチナの学校は建設を禁止されなければならないんだ?」

「だから、支援だけでなくアドボカシーも行ってほしい。解決策は"(モノをくれる)支援"では無いんだ。それを、分かっていてほしい」

先生の話は、パレスチナ全体の悲痛な叫びのように聞こえました。いくら学校に最新鋭の機材が備え付けられても、それで地元の人たちの問題が解決されるわけではない、援助を断りたいわけではないけれど、本当にしてほしいことは他にある――パレスチナに大量の国際支援が流れ込む中で見失われがちな問題を、彼は私たちに遠慮することなく突きつけてくれたように思いました。

彼は続けました。

「私たちにも、頭脳があるんだ。日本の人たちと同じように。日本は戦後の苦難の時期を、頭脳を使って乗り越えてきただろう? 私たちパレスチナ人も、今、同じように立ち上がるべきなんだ。一緒に政治を動かして、問題の解決を目指すべきだ」

JVCパレスチナ事業は直接的な支援に加えて、イスラエルの占領に終止符を打つための「政策提言(アドボカシー)」も行っています。これまでも日本政府や国際社会に対する声明・要請文を出し、イスラエルによる人権侵害の問題を訴え続けてきました。 その一方で、アドボカシー活動による成果はなかなか見え辛く、だからこそ先生の言葉が胸に刺さるような思いがしました。

パレスチナ問題はこれまで70年近くも未解決のまま、人々の生活を翻弄し続けてきました。明日、来月、もしくは来年に、イスラエルによる人権侵害に完全な終止符が打たれることは、無いかもしれません。
それでも、「与える支援」ではなく「現地の声に耳を傾けて見つけた、地元の人々が本当に必要としている支援」にこだわり、問題の根本を見据える事業を続けていきたいと、一事業担当として強く思います。

次の出張では先生に「私たちも行動して、ささやかだけど状況改善につながったよ」と伝えられるよう、活動を続けていきたいと思っています。この現地便りを読んでくださっている皆さんのお知恵やお力もお借りできたら、大変嬉しいです。

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