現在東エルサレムで実施している学校地域保健事業では、地域の人々が自分たちの力で健康を守れるようになるための仕組みづくりに注力しています。そこで今回は、その取り組みの一つ、トレーナーのトレーニングという活動をご紹介します。
トレーナーのトレーニングは、"Training of Trainer"の頭文字を取ってToTと呼ばれています。この活動では、東エルサレムの4つの学校に生徒が主体となる保健委員会を設置し、委員会を引率する教員とメンバーとなった生徒を対象に、健康教育と救急法のトレーニングを行っています。現在対象となっている4校は、男子校2校、女子高2校で、男子校のうち1校は分離壁によって東エルサレムから分断された地域にあります。
ToTのトレーニング終了後は、生徒たちがアイディアを出し合って、歯科衛生や健康的な食生活に関するポスターを作って掲示板に張り出したり、校内放送や朝礼で健康的な生活習慣や学校衛生の大切さについて発表したり、校内のゴミ掃除を働きかけたりして、他の生徒の意識向上を図っています。保健委員会のメンバーは専門的な救急法講習も受けているので、けがをした生徒に救急法の処置を担うことも期待されています。JVCとパートナー団体であるパレスチナ医療救援協会(MRS)は、委員会に参加した生徒たちの活動を側面から支え、アドバイスをしたり、文房具や救急バッグを提供したりしています。
生徒がどのような動機で委員会に参加しているのか、参加者の男子中学生に聞いてみました。
「ここには救急車が来るまでとても時間がかかるし、学校に保健士もいません。友だちが怪我した時、自分で治療できるようになりたいんです。」
この学校では、校庭に分離壁が建設され、東エルサレムから分断されてしまいました。この村は、エルサレムからは近いですが、パレスチナ自治区の中心地からは離れています。救急車はかつてはエルサレム側から来られましたが、今は自治区の病院から舗装の良くない道を通ってやって来る救急車を待たなければなりません。また、自治区の学校には日本とは異なり、保健室や保健の先生もおらず、大怪我をしたときは救急車をずっと待つか、誰かの車で遠くの病院まで行かざるをえないのです。
JVCパレスチナ事業は、このToTの活動のように、いかなる困難な状況でも人々の希望と互いに支え合う力を信じ、それを支えながら、最終的には外からの支援を必要とない仕組み作りを目指して活動しています。
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