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2013年7月25日 【 東エルサレム・保健指導

西岸地区でサマーキャンプを開催しました

パレスチナ現地代表 今野 泰三
2013年7月29日 更新
サマーキャンプに参加した子どもたち。アル・ジーブにて。サマーキャンプに参加した子どもたち。アル・ジーブにて。

東エルサレムの学校地域保健事業では、6月後半から7月初めにかけて、パートナー団体パレスチナ医療救援協会(PMRS/MRS)と合同で10日間のサマーキャンプを開催しました。参加者は13歳から16歳の青少年です。今年は、東エルサレムの4ヶ所で開催され、約100人程度の中学生が参加しました。

4ヶ所のうち、分離壁のエルサレム側の学校1校(旧市街の女子校)を除き、残りは分離壁で封鎖されたヨルダン川西岸地区側の学校・地域施設での開催となりました。JVCは他団体との協力のもと、生徒たちを引率して健康教育や救急法講習を行う医療チームの人件費のほか、文房具などを提供しました。

今年のサマーキャンプのテーマは、「あなたとあなたの健康と変化」で、子どもたちに配られるTシャツの背中にも印刷されました。「変化」という語には、思春期の身体的・精神的な変化について知ろうという意味と、サマーキャンプでの活動を通じて喫煙の害、衛生の大切さ、思春期の変化、正しい食生活などについて学び、健やかな成長のために自分自身から変わっていこうという意味の2つが込められているとのこと。

では、サマーキャンプの開催地はどんな場所でどんな状況下にあるのでしょうか。この現地便りでは、アル・ジーブの置かれている状況を簡単に説明します。

アル・ジーブなど4つの村を囲い込む分離壁アル・ジーブなど4つの村を囲い込む分離壁

アル・ジーブはエルサレム中心部の北西部にある、オリーブ畑で囲まれた山間の村です。通常であれば、町の中心部から自動車で数十分の距離にあります。しかし、アル・ジーブは周囲の3つの村とともに、イスラエルが建設した分離壁によって四方を囲まれてしまいました。イスラエル政府は、エルサレムの周囲に建設した違法入植地を自国領の中に囲い込むために分離壁を建設したのです。

白い矢印のところがアル・ジーブ村。赤線:分離壁、緑線:1949年休戦ライン、青線:イスラエル政府が一方的に併合して首都と宣言した「エルサレム市」の境界線、緑色:パレスチナ人居住地区、水色:イスラエル入植地。出典:Ir Amim白い矢印のところがアル・ジーブ村。赤線:分離壁、緑線:1949年休戦ライン、青線:イスラエル政府が一方的に併合して首都と宣言した「エルサレム市」の境界線、緑色:パレスチナ人居住地区、水色:イスラエル入植地。出典:Ir Amim
アル・ジーブを囲う分離壁の一部。この壁で囲まれた上部分にイスラエル専用道路があり、その下に分断されたパレスチナ自治区を結ぶトンエル道路が建設された。アル・ジーブを囲う分離壁の一部。この壁で囲まれた上部分にイスラエル専用道路があり、その下に分断されたパレスチナ自治区を結ぶトンエル道路が建設された。

壁で囲まれた4つの村は、もともとエルサレムの一部でした。しかし、分離壁と違法入植地によってこのつながりを断たれ、住民の多くは文化・宗教・経済の中心地だったエルサレムに行けなくなりました。
またイスラエル軍は、4つの村の唯一の出入口であるトンネル道路を管理しており、いつでも「安全保障」という名目でこの地域を封鎖できます。多くの村人は、西岸地区の都市やイスラエル入植地で働いているので、完全封鎖されれば生活はすぐに困窮します。この地域には病院や大学もないので、封鎖されれば病院や大学にも行けなくなります。この地域の外で暮らしている場合はこの村に戻れなくなります。こうして、高さ8メートルの壁に囲まれて暮らすことを強いられた人々は、世界に出る自由も、生活の糧を得る自由も、大学で勉強する自由も全てイスラエル軍に管理されています。

救急法講習を受ける中学生と現場医療チームのアブドゥッラー医師(中央)。アル・ジーブにて。救急法講習を受ける中学生と現場医療チームのアブドゥッラー医師(中央)。アル・ジーブにて。

今回のサマーキャンプは、占領によってもたらされた厳しい状況の中でも、子どもたちに、自分たちの力で生きていくために最低限必要な医療・保健の知識や技術を身につけてほしいという思いから開催されました。JVCエルサレム事業は、今後も引き続き、どんなに厳しい状況下でも夢や希望を諦めず、一生懸命に生きている子どもたちを応援していきます。

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