10月1日、現地調整員の金子とともに、東エルサレムのベイト・ハニーナ地区にある小学校、アッスンナ・アル・イスラーミーヤ校で開催された健康診断に同行しました。この健康診断は、JVCとパレスチナ医療救援協会(PMRS/MRS)が実施している「東エルサレムにおける学校・地域保健事業」の一環です。
この日は医療チームのラーミー医師、ラエド医師、フィルヤル保健指導員、ドゥアー保健指導員、サーメフ保健指導員が、1年生の3クラス、計65人の健康診断を行いました。検査する項目は、身長・体重・視力のほか、耳・目・鼻・腹部・胸部です。男の子の場合は、将来のために停留精巣(陰嚢内に睾丸が触れない状態をいい、男児の生殖器の異常としては最も多い疾患)も調べます。
小学校教員:「次は1年生のクラスの5人です。ラーミー先生、ラエド先生、お願いします。」
ラーミー医師:「はい、名前は?どこに住んでるの?はいじゃあ、口開けて。うん、問題ないね。じゃあ次は目と耳を見るよ。はい、こっちも問題ないから次は視力検査をしようね。」
ラエド医師:「はい、名前は?じゃあここに横になってね。はい、服を上げてね。息を吸って、吐いて。」
ドゥアー保健指導員:「じゃあ、これから視力を調べるから、みんなこっちに集まって。これの見方分かる?Cで穴が開いているのはどっちかな?じゃあこれは?そう、上だね。じゃあこれは?これは穴が開いているのは左だよね。じゃあ検査を始めるから、あの階段のところまでみんな下がって。」
この日は、栄養失調の疑いのある子どもと他の病気の疑いのある子どもが専門医に紹介されたほかは、専門医の診察・治療が必要な慢性的で重大な病気は発見されませんでした。町の薬局で購入可能な薬で治療できる病気については、ラーミー医師が処方箋を書き、健康診断の後にクラス全員分の健康診断の結果とともに先生に手渡します。専門医の診察を受ける必要があると判断された子どもについては、ラーミー医師が紹介状と両親への手紙を書いて、担任の先生に預けます。
医師から両親への手紙は今年から始めた試みです。昨年までの学校保健事業では、専門医での診察・治療が必要な事例でも両親が子どもを病院に連れていかない事例がいくつかありました。両親が子どもを病院に連れていかない理由としては、母親が子育てに忙しい、子どもの病気が深刻ではないと考えている、病院が遠くて交通費が払えない、など様々な家庭の事情がありました。
そこで今年からは、親御さんに子どもの病気についてよく知ってもらい、病院に連れて行くことの重要性に気づいてもらうために、医師が症状の内容や治療の重要性を伝える手紙を書くことにしました。この手紙は、その子が通う学校にも保存され、両親がきちんと子どもたちを病院に連れていったか先生と医療チームが確認するためにも使われます。両親には、専門医で診断・治療した後に受け取る診断書のコピーを、学校と医療チームに提出するようお願いしています。さらに、専門病院までの交通費の補助も、必要に応じてJVCとMRS/PMRSが支給することになっています。
本事業では、子どもたちの病気を予防・早期発見するために健康診断を行うだけでなく、両親に手紙を書いたり、両親と学校教師の意識を高める教育活動をしたり、学校との協力関係を強めたりすることで、深刻な病気を抱える子どもたちがきちんとした診断・治療を受けられるような環境作りを進めています。
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