9月からパレスチナでも学校の新年度が始まり、JVCが東エルサレムで協力するNGO、医療救援協会(MRS)の活動も活発になってきました。今年度もMRSは東エルサレムにある50以上の学校や幼稚園で健康診断や健康教育を行います。
その中でも今年度の目玉は、MRSが健康教育を行った生徒が、習ったことを他の生徒たちに教えていくという「トレーナーのためのトレーニング」です。医師が何度も学校に出向いて違うクラスに同じ健康教育をするのではなく、トレーナーを育成して彼らが他の生徒にトレーニングをすることでより多くの生徒に波及効果を生み、また生徒間でも学び合いを深めると言うことを目的としています。

今日はこのプログラムがまだ始まったばかりの学校に医師とともに出かけました。場所は、東エルサレムにある旧市街からもほど近いところにある男子校。その教室のひとつにこれから生徒たちのトレーナーとなる卵たちが集まりました。放課後の特別教室にも関わらず、その数30名以上。学校の先生に聞くと、「特に年齢や学校の成績などで選んだわけではなく、『やる気のある者』に手を挙げさせて、このトレーニングに参加させることにした。当初10人から15人を想定していたんだが、結局倍以上になってしまった」と言います。
「今日はこれから応急処置の講習を始める」と医師が言うと、さっきまではしゃいでいた男子生徒たちの顔が引き締まります。まず、医師は安全確認、意識確認、呼吸確認、脈拍確認などの基本を教え、その方法をダミー人形を使いながら説明します。一通りの説明を終えた後、生徒を教壇に立たせ、今説明したことを今度は生徒自身が皆の前で説明するようにさせます。うまく説明できない生徒も何人かいましたが、医師の助けを借りながら、僕が思っていたよりはうまく発表できていました。

特にやんちゃそうな男子生徒が、皆の前に立った瞬間真剣な目つきで人の命を救うための説明をするのを見て、これは健康教育の波及効果ももちろんそうだけれど、このトレーナーたちに「何か大事なことを皆に教えることができる」という自信をつけさせるのが実は非常に大きなことなのかもしれないと思うようになりました。普段習っているばかりの生徒が、教える側になる。考えてみれば、これは彼らにとってとても大きな変化です。

この30人が授業を真面目に受け、各々10人ずつにトレーニングができるようになるだけで、その効果は300人に広がります。学校保健の明日を担うトレーナーの卵たちが、これからもやる気を見せ続けてくれることに期待です。

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