今日は朝早くエルサレムを出発し、ヨルダン川西岸地区にあるPMRS(パレスチナ医療救援協会)の診療所を視察に行ってきました。PMRSはパレスチナの各地に診療所を持っていて、一次医療(応急処置など)と予防医療(健康教育など)その他のサービスを提供しています。西岸地区の診療所はラマッラーにある本部が統括していて、今日はラマッラーから薬剤師のイマンさんが北部の村にある診療所へ医薬品の在庫チェックや医師・保健師との情報共有のために出かけると聞き、ついていくことにしました。

最初に着いたのは北部の中核都市ナブルスにほど近いところにあるセバスティア村の診療所。もっと村の中にあるのかと思っていたらすこし外れたところにありました。医師のマルズークさんに話を聞くと、ナブルス近郊は第二次インティファーダ(2000年以降)の時に激戦区となり、セバスティアを含めた6つの村から来るけが人・病人を受け入れるためにこの立地になったと言っていました。最近は近くにあった検問所もなくなり、ナブルスにある総合病院へ行く人が多くなったと彼は言います。

それにしてもひと気の少ない診療所を僕が見ていると、「今日はオリーブの収穫で農民が皆畑に出ているため、診療所に来る人は少ないんだ」とマルズーク先生が説明します。そうです、パレスチナの10月の名物と言えば「オリーブ収穫」です。この診療所までの道すがらにも、家族総出でオリーブの実を摘む農民たちをたくさん見ました。「でも逆にオリーブの木に登って作業をしていた人が木から落ちて病院に運ばれてくることもよくあるんだけどね」とマルズーク先生は苦笑しながら言っていました。
次に向かったのは西岸地区北端の街ジェニンの近くにあるコフル・ラーイ村の診療所。さくらんぼの産地であるこの村の診療所は、セバスティアの診療所よりも患者が多く、特に子どもを連れた母親が多く診察に来ていました。歯医者が常勤していることも、来る人が多い理由の一つかもしれません。この診療所はPMRSがトレーニングを行っている研修生たち(保健師見習い)も受け入れていて、医師や保健師などと一緒に仕事をしながら実際の仕事を学んでいる様子が見られました。

この診療所は小高い場所にあるため、バルコニーから西から北にかけて見渡すと、西岸地区の向こうにイスラエルも見えます。現在はこのように長閑な農園の風景ですが、レバノン紛争中(2006年)はここからレバノンとイスラエルの間を飛び交うミサイルが見えたそうです。エルサレムに比べると、西岸地区の村々は素朴で、牧歌的に見えますが、どの村にも紛争の歴史があり、記憶があります。しかし、西岸地区のすべての診療所を回りながら仕事をしている薬剤師のイマンさんは、とても元気で、仕事を楽しんでいて、同行した僕もとても元気にさせてくれました。

この活動への寄付を受け付けています!
今、日本全国で約2,000人の方がマンスリー募金でご協力くださっています。月500円からの支援に、ぜひご参加ください。
郵便局に備え付けの振込用紙をご利用ください。
口座番号: 00190-9-27495
加入者名: JVC東京事務所
※振込用紙の通信欄に、支援したい活動名や国名をお書きください(「カンボジアの支援」など)。
※手数料のご負担をお願いしております。
JVCは認定NPO法人です。ご寄付により控除を受けられます(1万円の募金で3,200円が還付されます)。所得税控除に加え、東京・神奈川の方は住民税の控除も。詳しくはこちらをご覧ください。
遺産/遺贈寄付も受け付けています。詳しくはこちらのページをご覧ください。