今日はエルサレムからヨルダン川西岸地区に入った郊外にあるベドウィンの村(地図中の青い丸)に、MRS(医療救援協会)の巡回診療に訪れました。

ベドウィンとはパレスチナを含む地中海沿岸地域に古くから住む遊牧民族で、定住を好まず、季節や環境の変化によって簡易住居を動かし、移住を繰り返すアラブの人たちです。この生活スタイルのために、医療などの公共サービスから疎外され、誰にも知られることなく病気が悪化したりしてしまうことがあります。そのため、MRSの巡回診療は彼らにとって非常に大きな助けとなっています。MRSは定期的にこの村を訪れることにしていますが、毎回子どもたちを中心に十名以上の診察を一気に行うのが通常です。今回の巡回診療では中耳炎や虫歯、扁桃腺炎、ウイルス性の風邪などにかかっている子どもを発見し、医師が薬を処方しました。

僕は村の男性アフマッドさんに、「グレア」というカモミールに似た野草を入れた紅茶をごちそうになりながら、最近の生活の変化などを聞いてみました。

「50年ほど前にこの地域に住みつき、寒いときは死海などのあるヨルダン渓谷の下へ、そして暑いときは上へ(エルサレム方面へ)移動しながら生活するということを繰り返してきた。しかし、イスラエルが(東エルサレムとヨルダン川西岸地区を分離する)壁を建設してからというもの、この移住生活が厳しくなってきた。特に、イスラエルからの圧力で暑いときでもエルサレム方面に行くことができなくなってしまったのが問題だ。それに、もしかしたら一度今のこの場所を離れると、ユダヤ人入植者が住みついてしまうかもしれない。ここ6,7年は、移動したらこの場所に戻ってくることができなくなることが怖くて、この場所に「定住」している。これは本来のベドウィンの生活ではない」
村の周辺には、いたるところに入植地が顔を出しています。この近辺の入植地についても聞いてみました。
「この近くの入植地は柵で囲まれ、羊たちに草を自由に食べさせることができなくなってしまっている。残された土地は豊かではないので、羊たちのエサを買う必要も出てきてしまった」

さらにこんな話も聞きました。
「最近はナビ・ムーサにイスラエルがベドウィンたちを定住させる計画を立てているらしい。ナビ・ムーサはヨルダン渓谷にあるジェリコの近くで、住むのに適した場所ではなく、夏はひどく暑く、冬は寒い砂漠地帯だ。そんなところには住みたくない」
一見のどかな村の生活も、彼の話を聞くうち、様々な面で苦労を強いられていることがわかりました。この村の将来はどうなってしまうのでしょうか。
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