一年に一度の、ベイト・ジブリン難民キャンプの女性グループの研修旅行。朝7時。せっかくの旅行なのに、この日は朝から怪しい雲行き。集合場所でどんより重い空を見上げて心配する私に「大丈夫よー、晴れるわ!」と声をかけながら、鍋ごとお昼ご飯が入っているであろう大きなかばんをバスに詰め込む女性たちは、今にも鼻歌を歌い始めそうな表情です。
この日参加するのは、30人の女性と25人の子どもたちです。誰もがこの日を楽しみにしていました。多くの女性たちにとっては、一日家のことを旦那さんに任せて外出できるのは、この日くらいなのです。
さあ、出かける前にIDのチェックです。「みんなIDは持ってる?」と確認すると、「持ってるわよ〜」と元気なおばちゃんたち。この日も、ラマッラーまでの道のりには検問所を通らなければなりません。行きは難なく検問所を通過し、ラマッラーへと向かいました。
バスの中では、早くもノリノリの女性たちが手を叩いて歌い始めます。まだ朝8時なのに!
まずバスの中で、今日の予定の確認です。訪問先、スケジュールは女性たちが自分たちで決めました。「メーンは研修です、遊びに行くのではありませんよ」と強調しながらも、実際はいつも頑張っている女性たちの慰労も兼ねた旅行。女性たちは自らいくつかのほかの地域の女性グループに電話をして活動内容を聞き、訪問先を決めました。
貸し切りバスなどにお金がかかるので、JVCも支援をしますが、女性たちもそれぞれ、15〜20シェケル(450から600円)の参加費を払います。

この日はまず、ラマッラーの北部にあるコバルという村の女性グループを訪問しました。この女性グループは刺繍製品、乾燥ハーブなどを作っています。刺繍製品は、イギリスの団体が販売に協力してくれているそうです。マラミーヤ、ザーター、ローズマリーなどの乾燥ハーブは、ラマッラーなどで売っているそうで、これは女性たちが自ら販売先を探しているそうです。

「自分たちで売るのは大変だけれども、協力してくれる人は探せば見つかるものよ。それから、ハーブや香りの良い花のミックスなど、新しい商品も試しているの」という説明に、女性たちも感心している様子。ぜひ、自分たちで売ろうというこの姿勢を学んでほしいと、隣でうなづく私。刺繍製品には、香りのよいハーブを中に入れた袋など、アイディア溢れる商品などもあり、またどれも洗練されたデザインです。

縫製担当の女性は、このセンターの商品の縫製をじっくりチェックしていました。
「ああ、ここは折り返して入れるとここの縫い目が外に出ないのね」
と言いながら、目が真剣です。「あらこのデザイン素敵ね。参考にしたいから写真を撮っておいて」
と私に言います。

デザイン担当の女性は、
「参考に」
というのがミソ。
「よそのデザインをそのまま盗まないように!」
といつも言っているのがわかっているのでしょうか。

その後は、ラマッラーにある女性センターを訪問。残念ながら、この日急に予定が変わったらしく、女性グループと会合することはできませんでしたが、ここには伝統ドレスや伝統的な農具、日用品などを展示した民俗博物館があるので、こちらでパレスチナの伝統文化についてのお勉強となりました。おばちゃんたちは、豪華な刺繍のドレスの展示などを見て、すっかりはしゃいでいます。

伝統的な生活様式を再現した部屋では、その中に座っての写真撮影会となり(本当は、展示物の中には立ち入り禁止だったのです)大騒ぎとなりました。「家に帰ってダンナに見せるのよ。私たちがしっかり勉強しているってわかるでしょ!」と、あるおばちゃん。うーん、私には、楽しんでいるようにしか見えないのですが・・・
さて、センターを出てきたところで外は大雨。本当はラマッラーにある、子どもたちも遊べる公園でピクニックのはずだったのですが、キャンセルせざるを得ません。バスの中では、ビャーッと外の雨に負けない勢いで泣き出す子どもたち!
そこで運転手さんに相談し急遽、エリコの公園に行くことになりました。エリコは常に温暖な気候で、雨が降ることなどめったにありません。念のためエリコに電話をして天気を確認し、ルート変更となりました。
しかし、いくつかの公園に行ってみましたが、どこも何十台という大型バスが止まっていて、公園内は人、人、人でぎっしり。悪天候のため、学校の遠足などは全てエリコに流れたようです。その中でも空いていて、しかもプールのある公園になんとかたどり着きました。(つづく)

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