今回は、プノンペン事務所で働く総務担当のチェンガウさんを紹介します。チェンガウさんの働くプノンペン事務所と、私が滞在しているコンポンクデイ事務所は、バスで5~6時間ほどかかります。普段はなかなか会えないので、この機会にチェンガウさんについてたくさん知ろうという思いでインタビューをしました!
石山-チェンガウさんは、どうしてJVCに入ったの?
チェンガウさん:今までしていた仕事と違う分野だから新しい経験を積めると思ったことと、JVCはCCC(Cooperation committee with Cambodia:カンボジアで活動する国内・国際NGO団体をまとめるネットワーク組織)に参加しているから、そこの研修に参加したら新しい勉強をもっとできると思ったからだよ。あとは、農業分野での支援は、貧困世帯の支援に関係しているから、参加したいと思ったんだ。2011年に入ったからもう5、6年経つね。
-今までしていた仕事と違う分野、って言ってたけど、それまでは何の仕事をしていたの?
:JVCに入る前は、水着を作る工場で働いていたよ。そこでは全体を見るような役割を担っていたんだ。例えば、ちゃんと出勤しているか、作業中に寝ていないか、お菓子を食べていないか、協力してやっているか、トイレは清潔か、せっけんはきちんと置いてあるか、などをチェックするんだ。働いていたのは韓国の会社の工場だったんだけど、工場で働く人は、カンボジア人だけじゃなくてベトナム人、フィリピン人、中国人などいろいろな国の人がいて、男女問わず若者も中年の方もいたよ。働く人は、全部で700人くらいいたかな。自分の責任や役割のある仕事が多すぎて大変だったこと、土日も休みがなくて家族との時間も持てなかったことなどから、4年間働いて辞めたよ。
本当は仕事を変えたくない性格なんだよね。だからJVCでは可能性がある限り働き続けたいと思っているよ。今のスタッフや雰囲気も好きだしね。長く働くと、スタッフとより仲良くなれるし団体のことも好きになれるから、仕事を変えずに続けたいと思うんだ。
-工場で働いていたこと、全く知らなかった!そもそも、どうして工場で働くことにしたの?
:大学では経済を学んでいて、専攻は事業管理だったんだ。それで、商品とマネジメントに関しての卒業論文を書くために、卒業前に3ヶ月間その工場でインターンをしたんだよ。そのあと、卒業してそのまま働くことになったんだ。
-なるほど!チェンガウさんは元々プノンペン出身なの?
:違うよ。コンポンチャム州の出身だよ。僕が小学校に入るときに家族みんなでプノンペンに来たんだ。おじさんがプノンペンに来るように呼んだんだ。コンポンチャムでは仕事探しが難しいんだけど、プノンペンには働く先がたくさんあるからね。僕は6人兄弟の末っ子で、兄弟はみんなもう結婚しているけど、両親は僕の兄弟と一緒に今も暮らしているよ。
-チェンガウさんも結婚しているんだもんね。奥さんとはどこで出会ったの?
:彼女とは、工場で働いているときに出会ったんだよ。5年間お付き合いして、結婚に至ったんだ。彼女は今でもそこの工場で働いているよ。もう11年くらい続けている。今では仕事ができすぎて支配人に気にいられているし必要とされているから、辞めるのも休むのも無理な状態。休日も仕事に行くから、僕は休日には家にいるよ。洗濯物したり、掃除をしたり。兄弟がやっているレストランに行って皿洗いの手伝いをすることもあるよ。今は4歳と1歳になる2人の娘がいるんだけど、夕方には娘たちを連れてお菓子を食べに行ったり、映画を見に行ったり、イオンに遊びに行ったりするんだ。イオンの食品売り場にあるお寿司が大好きだよ!夜遅くになると、50%オフになって安くなるから、そこを狙って行くんだ(笑)
-生魚が嫌いな人も多いと思うんだけど、チェンガウさんは食べれるんだね!
:うん、大好きだよ。サーモンがおいしいよね!わさびと一緒に食べるのも好きだよ!
-お寿司食べたくなってきたね・・・。娘さんはまだ小さいけど、これからやらせたいこととかあるの?
:自分が何かをやらせたいってことはないよ。娘たちがやりたいことをやらせたいと思ってる。本当に家族は大切だから、家族に何か問題があるときが自分は一番しんどいんだ。
-じゃあ、仕事で一番楽しいときはどんな時?
:MOU(Memorandum of Understanding:政府との覚書)が通ったときが一番嬉しいよ。JVCにとって、とても大切なものだし、出すのも難しい分、通った時は本当に嬉しい!行政機関と連絡を取って仕事をするのは難しいし、そこはフィールドで働くコンポンクデイのスタッフとは全然違うところだね。1人で書いているし、ミスがたくさんあってMOUが通らないときはとても辛い気持ちになるよ。
-最後に、チェンガウさんは、カンボジアの発展に関してはどう思ってる?
:医療分野がまだまだ発展していないね。カンボジアでは病院に行ってもわからないことが多いから、お金がそこそこある人はタイやベトナムに行くんだ。最新技術がそこにはあるし、病気の治療にもちゃんと重点を置いているからね。 一方で、カンボジアにはコンドミニアムがとても増えているんだ。中国や日本の会社のものが多いんだけど、コンドミニアムの数は周辺国よりも多いと思う。そこの分野では発展していると思うよ。あとは、近代的なお店も増えてきたよ!プノンペンにイオン2号店もできるんだ。スターバックスも空港とイオンにできたんだよ。最近は有名なお店がいろんな国から入って来るようになったね。高くてあまり行けないから、僕はたまーに楽しむくらいなんだけどね(笑)
私から見たチェンガウさん
チェンガウさんは、私の中では「縁の下の力持ち」というイメージです。コンポンクデイの活動地から離れている環境で、事業に関わる書類関係や外部との連絡など、事務仕事をこつこつと行うことはなかなか簡単なことではないと思いますが、チェンガウさんの仕事があってこそのJVCだと感じます。本当にスタッフ思いで、私のことも気にかけてくれるとても優しい性格です。時には不満や疑問をぶちまけてくれる思い切りのよさも持ち合わせています。また、独特な高めのハスキーボイスなので、喋っているだけでなんだか楽しい気持ちになります!プノンペンスタッフに会える機会は本当にあと少しなので、一緒に働ける時間を大切にしたいと思います。