先日、カンボジア南東部のベトナムと国境を接するスバイリエン州で活動を行っているIVY(International Volunteer of Yamagata)という団体の活動を見学させていただきました。IVYはもともとJVC山形として1991年に発足し、のちに国際ボランティアセンター山形(IVY)に名称変更し、今に至っています。
過去には孤児やストリートチルドレンの支援を行っていたそうですが、現在はカンボジア東部のスバイリエン州にて貧困農民の生計改善のための活動を行っています。
IVYでは、スバイリエン州農産物組合(SAC)と協力して無農薬野菜の生産・流通体制を整え、有機栽培を行う農家の収入向上を向上させるという活動を行っています。IVYが取り扱う無農薬野菜は、バヴェットと呼ばれるベトナムとの国境地帯にある商業施設や、今年プノンペンにオープンしたイオンなどに出荷されています。
また試験農場は、野菜の種子や苗を育てており、農家への販売や技術提供する場としても活用されています。
当日は、朝8時頃にプノンペンの事務所を出発。視察を楽しみにしていたスタッフは、朝からウキウキしており、中学生の修学旅行といった様子で、車中は謎の大盛り上がりでした。また、プノンペンからスバイリエン州に行く途中でフェリーに乗ってメコン川を渡る必要があるのですが、フェリーの待ち時間になんともすさまじい光景を目にすることが出来ます。
車が停車するや否やバナナやゆでタマゴ、果てはイナゴ?などを持った売り子が車を囲うように集まってくるのです。窓を叩きながら買わないかと迫ってくる人々に恐怖を感じるほどの強烈なインパクトがありました。プノンペンを出発して2時間強。スバイリエン州に到着した時にはすでにクタクタでした。
一方、スタッフはといえば、車中で散々騒いだにも関わらずずっとハイテンションのまま。よほど気持ちが高まっていたのでしょう。
スバイリエン州に到着後、IVYの農場担当のセルナンさんの案内でIVY事務所、それからIVYの試験農場を見学させていただきました。セルナンさんはなんとまさかのフィリピン人。明るく陽気で笑顔がとっても素敵な方です。IVYでは農家が作った野菜を一度IVYの事務所に集め、そこで水洗いや袋詰めなどの作業を行い、それから出荷という流れになります。
そのため、事務所には作業スペースが設けられ、多くのスタッフが日々いそいそと作業を行っているそうです。訪問した日は、ちょうど作業が終わりトラックに野菜を積んで出荷するというタイミングで事務所に到着したので、キレイに袋に詰められた野菜を見せていただくことが出来ました。この袋詰めの作業を行うのはイオンに出荷する野菜のみで、基本的にカンボジアの市場では野菜はそのままの状態で売られています。
試験農場では、農場長セルナンさんのこだわりと徹底した仕事ぶりを見ることが出来ました。洪水を防ぐために作られた用水路、農場内のほとんどの野菜に施されたマルチ、コンポストの使用やコンパニオンプラント(混植)の実践など。そうすべきという明確な理由から、細かく丁寧に一つ一つの作業が行われているなという感じがしました。
そして何より、明るく、ときに自慢げに自分の農場を紹介してくれるセルナンさんの姿が非常に印象に残っています。自分たちの取り組みに自信を持っているからこそ出来ることなのかなと思います。自分たちが自信を持つことが出来ない技術はおそらく農家には受け入れられないでしょう。ただでさえ農業以外のことでも忙しいのに、突然あれをやれこれをやれと言われても、素直に「はい、やります」とはならないものです。
カンボジアで農業をするということは想像以上に大変な重労働。農場で作業していると日々そのことを痛感します。確実に収穫量を増やせる、これまでのやり方に比べて作業が楽などのメリットが示せて初めて農家にやってみたいと思わせることが出来るはずです。天候条件などにも左右されるので、農業技術に絶対ということはあり得ないのですが、だからこそ自分たちが行う技術に確かな根拠があり、農場での試験を経て自信を持って農家に提供出来るようになることが必要だろうと思うわけです。
自分たちが農場で行っていることも、もう一度なぜそれをやっているのか、何がどういいのかということをしっかり確認しないといけないと思いました。やはりしっかり考えてやるということが大切です。それと、明るく楽しくということも重要そうだ、とセルナンさんを見ていて感じました。