TRCはどんなところ?
こんにちは。JVCカンボジア事務所で働いています、エンです。JVCで働いて20年になります。初めは清掃担当として採用されましたが、その後、総務・会計の補佐を経て、2006年からTRCの司書となりました。今回は、TRCと私たちの仕事について説明したいと思います。
TRCは正式にはTrainers' Resource Center for Sustainable Agriculture and Rural Developmentといい、1995年に設立されました。当時はまだNGOがほとんどなく、特に農業や農村開発などの分野で支援活動に関わることができる人材が不足していました。そこで、TRCでは、主にカンボジア人のNGO職員への研修を行ってきました。現在は、農業、環境、農村開発などを学ぶ大学生が主に利用していますが、リーダーやトレーナーを養成するというTRCの役割は変わりません。
TRCでは、農業、環境、農村開発などに関する国内外の書籍や雑誌などを収集し利用者に無料で貸し出しているほか、トレーナーが利用するための教材などを作成しています。今回は書籍・雑誌の貸出業務について、私たちがどのように仕事をしているのかご紹介したいと思います。
多くの人々に必要な情報を
多くの利用者はバイクや自転車を利用してTRCへ来ます。そのため、少し狭いですが、TRCの玄関脇に駐輪スペースがあります。また、下の写真の右側に見える木棚は荷物置き場です。利用者はカバン等の荷物をここで預けて、TRCに入館します。多くの人に貴重な資料を利用してもらうため、本の盗難や紛失を防ぐ目的があります。
荷物を置いたあとは受付をしてもらいます。受付を担当しているのは、TRCの補佐をしている、ブンヒエンさん(写真)とソンさんです。利用者は受付を済ませてTRCに入ります。
玄関を入って左手側に、私の机があります。ここで、貸し出しの手続きを行っています。初めてTRCを利用する人には、まず、利用者登録をしてもらいます。2回目以降は利用者カードを提示することで、すぐに利用できます。年間の利用者は1000名程度です。カンボジアでは内戦で多くの書籍が焼かれ、大学の図書館でも書籍は十分にありません。そのため、多くの大学生がTRCを研究のために利用しています。
今日は、大学4年生になったばかりの利用者がTRCに来ました。友達からTRCのことを聞き、利用してみようと初めてTRCを訪れました。「4年生になるまでTRCのことを知らなかったの?今まで本も読まずにちゃんと勉強してきたの?!」と、少しお説教をしてしまいました。小学校も卒業できない人が多いカンボジアで、大学まで行けるというのは本当に貴重なことです。大学生にはもう少し勉学をしっかりとやってもらいたいですが、最近の大学生は遊ぶことばかり考えて、あまり勉強熱心じゃないのが、残念です。ともあれ、今回は初めての利用ということで利用登録してもらいました。
さて、利用者登録の申込み用紙に記入をしてもらった後、きちんと連絡先や本人以外の保証人が書かれているかどうか確認します。中には借りた本を返さない人もいるため、連絡先や保証人をしっかりと確認します。カンボジアでは、携帯電話の電話番号を頻繁に変える人もいるため、大学の先生などにしっかりと保証人になってもらいます。その結果、本が返却されないことはほとんどありません。
利用者登録の手続きが済んだら、閲覧したい分野の本をカタログで探してもらい、何か気になるタイトルの本があれば、紙に書籍の番号を書いてもらいます。
無事、利用者が希望する本が見つかりました。今回の利用者は豚の飼育についての資料を探していました。その他にも、様々な分野の本がのべ6000冊ありますが、タイトルや番号をみれば大体どこにあるのか分かります。
また、できる限り利用者に声をかけ、どんなことに関心があるのか、どんなことを調べているのかを聞きます。もし、お勧めの本があれば、関連する書籍を探してあげることもあります。
一度に借りられるのは3冊まで、期間は10日間というルールになっています。借りられる冊数や期間が限られているため、利用者はどの本を借りるか、しばらく読んで慎重に選んでいくことが多いです。
TRCの運営を通してカンボジアの人々を支援
この仕事は、利用者が求めている資料を探して、貸し出しするという仕事なので、大体どこにどんあ資料があるのかを把握している私には、作業自体は難しいということはありません。
しかし困っていることは、カンボジア語での専門的な資料が少なく、利用者が求めている資料を貸し出しできないことがあることです。たとえば、先日も、サポジラやカスタードアップル、 ジャックフルーツ等の熱帯果樹の育て方、病気の対処方法について知りたいので、良い本があれば貸してください、と頼まれたのですが、TRCには関連する書籍がなく、とても残念でした。プノンペン市内にある他の図書館にも問い合わせたのですが、どの図書館にも関連する資料や書籍はありませんでした。
熱心に学ぶ学生や人々のために活動しているNGOのスタッフなどが必要とする情報を届けることができれば、微力ながらもカンボジアの農家のためにも役に立てるのではないかと考えています。このように学びたいという意欲がある人たちに必要な情報を届けることができるよう、もっと資料を充実させていきたいと思っています。
翻訳:ウン・ナラット、写真:坂本 貴則












