12月に入るとどこの農家も稲刈りで忙しくなります。稲刈りは稲の品種によって異なり、早いものだと11月下旬から、遅いものであれば1月に入ってから稲刈りを始めるというものもあります。が、多くの場合、12月に刈り取ってしまうというものが大半なのではないかと思います。

ところで、カンボジアの農業は耕起から田植えに始まって、収穫、脱穀などほとんどが手作業なので、農家は作業の時間をずらすために、わざと3、4種類の米を使い分けています。もちろん、作業の時間をずらすだけでなく、自家消費用・換金用やリスク分散のためにも使い分けています。そういうことを自然に身につけているということはとてもすごいことだなと感心させられます。

今年度、私たちの研修を受けてSRIを始めて見たという農家も収穫を始めたもしくは一部はもう終わってしまったというところが大半です。11月号の「相互訪問研修」の記事で取り上げた西タタオク村のヴィーさんの田んぼも収穫を迎えました。ヴィーさんが今年SRIを試した田んぼには「ニエイ・コン」という品種で中稲‐晩稲の品種で12月下旬頃から収穫を迎えます。そこで今回は、ヴィーさんの田んぼでどれくらいSRIと従来のやり方で差があるのかを比較するために、収量比較調査研修というものを実施しました。
12月25日のクリスマス、相互訪問研修と同じく東タタオク村の農家も招いて研修を行いました。研修は集まったメンバーを5つのグループに分けて、それぞれSRIの田んぼと従来の田んぼの1カ所(1m×1m=1�u)ずつを稲刈りします。その1�uの収穫量でどれくらいの差があるのか、また1ヘクタール(10000�u)あたりの収量はどれくらいになりそうなのかの予想を見ます。

結果は写真の「収量結果」の様になりました。半分から左側の数字が従来のやり方で、右側がSRIです。それぞれ左から、1�uあたりの株数、一株の稲穂の本数、1つの稲の穂から出た種の数、1�uあたりのキログラムとなっています。一番下の黒字の数字は平均で、その上の赤字は5グループの数字を足したものになっています。
SRIの方を見ると、ヴィーさんは今回でおこなった田んぼの株間を40cmずつ取っていますので、1�uあたりの株数は9株となっていて、その一株では平均22本の稲穂があり、一本の稲穂から平均166粒のお米の粒がついていました。1�uの重量は平均で0.51kg、1ヘクタールあたりに換算すると約5トンとなりました。一方、従来の植え方だとそれぞれ、19株、12.8本、100粒、0.258kgで1ヘクタールあたり2.5トンぐらいになります。
収量で倍ぐらいの差が出たこともすごいですが、SRIは一本で植えるように現在は伝えているので、一本が22本に分げつしていることになります。それに比べて従来の植え方だと田植えの時に一株に5,6本で植えていくので一本あたり2本くらいしか分げつしていないことになります。カンボジアの農家の中には稲は5,6本ぐらいにしか分げつしないと考えている人もいるので、そうではないことが実際に分かってもらえ、たくさん植えることが大切なのではなく、稲が本来持っている力を最大限に引き出せる環境を整えてあげることが大切だということが分かってもらえます。
もちろん、だからといって単純にSRIが良いというわけではありません。SRIを実践するには今までとは違うやり方で行うので、慣れていない農家には難しいでしょうし、雑草との戦いもあります。労働力が限られている中で、どこに労働力を分配することができるかというのは非常に大きな問題です。しかし、SRIを実践してもらえることで、ある程度の生計改善が見込まれるのであれば、ぜひそうしてもらいたいと思いますし、またそれを上手にやれるように積極的に支援していきたいと思います。
