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ラマダンの日々

2015年度アフガニスタン事業インターン 竹村 謙一
2015年7月15日 更新

(今月はラマダンにあたります。日本人にとってなじみの薄いこのラマダンと断食について、JVCアフガニスタン事業ジャララバード事務所のサビルラ・メルムラワルさんに語っていただきました。)

新調した服を着てイードを迎えます!新調した服を着てイードを迎えます!

ラマダン※注(1)はイスラム教徒にとってとても大切な一ヶ月です。自分の時間を使い、エネルギーを費やしてお祈りと断食をすることで、心を清め、自分をコントロールし、アラーへの帰依をめざします。アフガニスタンはイスラム教徒(ムスリム)が99%を占め、宗教的にとても厳格な国です。
ラマダンの期間中は、仕事の時間も変更されます。今年のラマダンは夏にあたり、気温45°Cの中で17時間近い断食をすることは楽ではありません。しかし、厳しい条件の下で断食を行えば、さらにアラーへ近づくことができるという信念があると、自然と力がわき、断食後の満足も得られます。
ラマダンの始まりと終わりの日時は、月の動きを元にしてサウジアラビアで決定されます。今年のラマダンは、午前2時45分から日没の午後7時までが断食の時間と決められました。断食は、お祈りの時間を告げる早朝のアザーン(Azan)で始まり、夕方のアザーンで終わります。断食に合わせて、食事は通常の朝・昼・晩の3回から、早朝と夜の2回に変わります。朝食は2時45分より前に食べ、夕食は夜7時過ぎに食べることになります。断食後の夕食は、イフタール(Iftar)と呼ばれます。ラマダンでは、13才以上の大人はすべて断食をしなければなりません。日中17時間は、何も口にしてはならず、さらに点滴で栄養補給をすることもできません。例外は入院中の患者さんや大統領くらいです(大統領は、いつ何が起きても対応できるようにしていなければならないので、断食はやらないとのことです)。

朝の暗いうちに朝食を済ませ、男たちはモスクに向かいます。女たちは家でお祈りをします。お祈りが終わったあとは、家でコーランを読んだり、休憩をとったりして、いつも通り仕事を始めます。ラマダン中の仕事時間はいつもより短くなります。

ラマダンの間、人々は熱心にお祈りをするので、睡眠時間も少なくなります。1〜2時間しか眠らない人もいます。戒律に従い、以前に犯した罪をあがないます。ムスリムは一日5回お祈りをしますが、ラマダンではさらにもう1回、タラウィ(Tarawie)と呼ばれるお祈りをして、モスクでコーランを読みます。

人々は午後になるとイフタールの準備を始めます。食料を買い集め、冷たい飲み物を準備します。暑い夏の一日を過ごしてカラカラになった喉には、飲み物は特に大切です。女たちは家でパンや食事の準備で忙しくなります。

親戚や友人を呼んでイフタール。右奥で笑っているのがサビルラさん。親戚や友人を呼んでイフタール。右奥で笑っているのがサビルラさん。
イフタールの食事。おいしそう!イフタールの食事。おいしそう!

ラマダンでは、近所の人や貧しい人たちに配るために余分に食事を作ります。たとえば私の家の場合、同居家族は30人いますので、二つのグループに分かれてイフタールを食べます。女たちとは別に男たちは客人用の部屋で食事をします。近所に食事を配りますが、客人用の部屋もいつもドアは開けたままにしています。入り口に少年を立たせ、帰宅するまでに時間のかかる人に水を配ったり、イフタールを勧めたりします。毎日やってくる人もいますが、水だけ飲んで帰る人もいます。裕福な家では、どこもこうしてラマダン中に飲み物や食事をふるまいます。ラマダンでは親戚や友人を家に招くことも多いです。ラマダンは社会的なイベントと言えますが、特に決まった催し物があるわけではありません。でもラマダン明けに行われるお祭りのイード(Eid)は、ムスリムにとって一年でもっともうれしいイベントとなっています。ラマダンの終わり頃になると、人々は新しい服や靴をそろえてイードを心待ちにします。

ラマダン期間中、人々は熱心にお祈りをします。祈りに答えてアラーが大きな加護を与えてくれるという信念のもとに、できる限りの努力をするのです。ムスリムはラマダンを心待ちにしています。それは、精神的な利益を期待しているからと言えるかもしれません。喫煙などの悪い習慣をやめるきっかけにもなります。断食はイスラム教に限らず、多くの宗教で伝統的に行われます。断食は思考力と精神性を高めてくれます。

ラマダンには、ムスリム社会の平等性を再確認させる意味もあります。裕福な人も貧しい人も、同じく断食をすることで、アラーの前では一切違いがないことを理解します。貧しい人、十分な食べ物がない人、障がいを持つ人、刑務所にいる人、孤児となった人の気持ちがわかるようになるのです。

※注(1) ラマダン(Ramadan)はイスラム暦の9月を指す言葉で、もともとそれ自体に断食の意味はありません。イスラム暦は月の満ち欠けに従う純粋な太陰暦で、閏月を持たず、太陽暦とずれが生じます。そのため、ラマダンの季節はその年により異なります。2015年は6月18日から7月16日となっています。ラマダン期間中、人々は昼間には一切の飲み物・食べ物を口にしませんが、日没後に飲食をします。