リヤードさんとの帰り道
AEIスタッフのハイファやアマルと分かれ、リヤードさんの運転する車で宿に向かう途中。リヤードさんは色々な話を私たちにしてくれました。「安心して暮らしたいだけなのに、何でこんな風に暮らさないといけないのか」「自分は自分の立場でものを言っている。人それぞれに考えはあるけど・・・自分は戦争が嫌で仕方ない。1人1人が安全に暮らしたいだけ」「昔は皆、一緒に生きてたんだから。正しい道に戻ることを願います」・・・当事者でない私は、聞くことしかできない。この1日、本当にもどかしい思いがどんどん大きくなりました。「国際社会にもっと介入して欲しい」。この言葉は、リヤードさんだけでなく、出会うほとんどの人から投げかけられた言葉です。
突然没収されたSDカード
動画だと12:30頃から騒がしくなる話し声。気付けばオートバイに乗った若者が私たちの車を止めていました。撮影は「軍事施設の撮影はしない」など細心の注意を払って行われましたが、出張記【2】にも書きましたが、3月の下旬に、ガザ地区を実質統治するハマスの幹部が何者かに殺害されるという事件があり、また犯人がジャーナリストやエイドワーカー(NGO職員など)のふりをして入域し、犯行に及んだのではないかとの噂があり、外国人でカメラを持っていた私たちの車が目に止まったようです。車を止めたのはハマスの軍事部門に属する私服警官の3人でした。リヤードさんが、「この人達はあやしくない。ガザの状況、戦争被害を伝えるために来てくれている人たちだ」「AEI(現地で有名な団体なので)と一緒にプログラムをやっている団体だ」などと話してくれましたが、SDカードをチェックするからと、没収されてしまいました。
なぜか渡されたオレンジジュース
今日撮影したものは夜にバックアップをとる予定だったので、没収されたSDカードにしかデータは入っていません。サブで撮影していた他のデジカメデータはありますが、苦労して入域、撮影し、何よりも多くの方に協力していただいての記録だったので、「返ってこなかったらどうしよう・・・」と不安が襲います。それなのに!なぜか没収した相手が、携帯電話で色々と報告をしながら、私たちに冷たいオレンジジュースを差し入れてくれました。近くの、自家発電で店を営んでいるところで買ってきてくれたようです。 「???」こんな状況下でなぜ、ジュースが渡されるのか・・・意味が分かりませんでしたが、「外から来た旅人をもてなす」というイスラム教の教えにのっとっているようでした。
SDカードのゆくえ
どうしたものか・・・と思いながらもなす術もなく、アラビア語の喋れる並木がリヤードさんと私服警官のやりとりに耳をすませていたところ、突然、SDカードが返却されました。どうやら「怪しい者ではない」と理解をしてもらえたようです。ホッと胸をなでおろす私たち。私たちを守ってくれた運転手のリヤードさんに深く御礼を伝え、宿に到着。怒涛の1日目の終了です。イスラエル入国~ガザ1日目終了(たった2日の出来事なのに!)のここまで、出張記が6回にもわたってしまいました・・・!でもそれだけ皆さんに知って欲しいことと、見て欲しいものがあったということ、ご理解いただけたら嬉しいです。
夜な夜な続くバックアップ作業
さて、恐れていたSDカード没収が現実のものとなった私と堀さん、今夜中に、今日撮影したものをある程度編集して、それをコピーして数箇所に分散して保管することにしました。作業は夜な夜な、時に起こしあいながら、時に寝ぼけながら、行われました。
今日とった記録をきちんと持ち帰るまでが仕事です。どこで何があるか分からない状況を改めてかみしめながら、作業を行いました。
(今回は10:00~13:05頃までのお話でした)この活動への寄付を受け付けています!
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