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【第三回】クーリエ・ジャポン×GARDEN×JVC「国交のない隣国 ~そこに住む私の友人~」を開催しました。

広報担当 大村 真理子
2017年9月12日 更新

第一回は南スーダン、第二回はパレスチナと続いてきた講談社クーリエ・ジャポンと堀潤さん率いるGARDENとのコラボ企画の第三弾。今回のテーマは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)。ちょうどこのイベントの行われた6月は北朝鮮にまつわるニュースが連日マスコミをにぎわせており(今の方がより進んでいますが・・・)、6月6日には鳥取県庁で、ミサイルが県内に着弾したと想定した初めての対応シミュレーション訓練が実施されていました。

相手を知ること

今回のテーマは、「相手を知ること」。一部を切り取った報道のみで判断するのではなく、北朝鮮という国、そして何より「そこに住む人々」を知ってみよう、という試みでした。進行役に、おなじみ(いつもありがとうございます!)の堀潤さんをお迎えし、スピーカーには、JVC人道支援/平和構築グループマネージャーの今井、コリア事業担当(当時)の寺西のほか、2015年・2016年と、JVCが他NGOと実施する「日朝大学生交流」に参加した日本の大学生2名、そして「クーリエ・ジャポン」創刊号より朝鮮半島担当スタッフとして従事され、現在はフリーで活躍されているライターの金香清さんにご登壇いただくという、本当に様々な目線で「北朝鮮」を知ることができる場を目指しました。

満員御礼の会場!満員御礼の会場!

人道支援~絵画交流「南北コリアと日本のともだち展」

JVCは1995年から北朝鮮に関わっています。自然災害を直接の原因とした飢饉の情報が入ってくるようになり、隣国のために何かできないかと、国際協力団体などが支援に取り組むことになったのがきっかけです。JVCも他団体と支援キャンペーンを展開し、全国から寄付やお米を集め、それを持って行ったのが支援の始まりでした。

寺西:「北朝鮮への支援というと、本当に現地に届いているのかが常に問題になります。配給所に食糧を取りに来てもらった後に、幼稚園を訪問して食べるところを見る、いわゆるモニタリングをしなければならない。ただ、現地の方々の生活を覗き込むのは難しくて、何度も回を重ねて、信頼されてやっと見せてもらえる。積み重ねが重要です。特に日本は他の国と違って歴史の問題があるので、完全にマイナスからのスタート。だからこそ、信頼関係を築くことに気を遣ってきました。何度か通ううちに、幼稚園の先生から、「昼食の時間になるので見て行ってください」と言ってもらえるようになりました。」

この言葉に大きく頷く会場。一つ一つを丁寧に積み重ねてきたからこそ、今があります。その後、2001年からは韓国のNGOとも協力し、JVCを含むいくつかの日本の市民団体で実行委員会を組んで、東京・青山のこどもの城で初めての絵画展を開きました。お互いの絵やメッセージの交換、展示を行うこの絵画展は、「南北コリアと日本のともだち展」として現在まで続いています。

日本からの絵を前に談笑する平壌の小学生日本からの絵を前に談笑する平壌の小学生
東京での「南北コリアと日本のともだち展」の様子。北朝鮮の子どもたちが描いた絵も展示されている。東京での「南北コリアと日本のともだち展」の様子。北朝鮮の子どもたちが描いた絵も展示されている。

平壌外国語大学の学生との交流

2012年からは、平壌外国語大学で日本語を学ぶ学生たちとの交流が始まりました。日本からも希望する大学生が訪朝に同行するようになり、大学生同士の交流が生まれています。会場では、2015年の日朝学生交流の様子を動画で流しました。

平壌外語大の女子学生:日本人と初めて会って、最初はなんか緊張していてとても胸がドキドキしていたんですが、なんか3日の間一緒に話し合ったり今日のように登山したりしながら、皆とよく親しくできてよかったと思います。今後も今日のような交流を広げていったらいいと思います」

カメラの向こうで日本語を話す北朝鮮の大学生の姿。こちらも会場の皆さんの真剣なまなざしが印象的でした。

2016年、現地で意見交換をおこなう日朝の大学生たち2016年、現地で意見交換をおこなう日朝の大学生たち

会場には2015年、2016年と交流のために訪朝した大学生の旭さん、長尾さんが。2人の口から語られる「北朝鮮の大学生」の姿は、スマホで写真を撮りあったり、「ジブリが好き」「『秒速5センチメートル』を見た」「普通に恋愛している」という、当たり前といえば当たり前なのに、色々な情報が飛び交う中でなかなか想像することのできない等身大の大学生の姿でした。しかし一方では旭さんの「反日感情を持っているのは知っていましたが、想像以上に日本のことが嫌いなんだなと最初に強く感じました。なぜ日本語を学ぶようになったのかと聞くと、みんな家族から植民地時代の話を聞いていて、その日本がどんなに悪い国かを勉強するために学びはじめたという答えだったんです。」というような話も。それでも交流を重ねるにつれ、「ミサイル発射」についてまで話すことができるというのは、改めて、直接お互いを知ることの重要性を教えてくれているような気がします。

軍事費から見る「北朝鮮」

交流の話を終えたところで、別の視点から見る北朝鮮についてゲストの金さんから。「これまで「北朝鮮の人たちの顔が見える話」をしていただきましたが、いまミサイルの話をしないと、臭いものにフタのようなことになってしまうので、ここで触れておきたいと思います」という金さんの言葉、本当にそのとおりです。

金:どういうことか理解するためにデータを見ていきたいと思います。世界の国防費の1位はアメリカ、2位は中国ですが、北朝鮮はというと75億ドルで46位のギリシャと同じ規模です。一方で、ロシアは4位、日本は8位、韓国は10位です。
では、対GDPで軍事費の割合が一番多い国はどこかというと、北朝鮮です。GDPの23%、約4分の1を占めます。アメリカ4.3%、中国2%、日本1%ですから、どれくらい軍事費が北朝鮮経済を圧迫しているかが分かる数字だと思います。

さすが、分かりやすい!いかに北朝鮮が軍事費に重きを置かざるを得ないか。改めて、そこに住む人々と、国の姿勢のギャップが浮き彫りになる瞬間でもありました。
その後の「私たちは行けるうちに現地に行って、人に会って、日本の人がどう思っているかを伝えて、風を入れていきたいと思っています。」という寺西の言葉が、心に沁みました。小さなことかもしれない。でも、これほど重要なことはないでしょう。「平和」というのは、こういう小さな小さな種をまき続けること、そしてそれがいつか花開くと信じる人々の心そのものだと、感じます。

金さん。分かりやすい解説をありがとうございました金さん。分かりやすい解説をありがとうございました
JVC寺西、約20年の想いを語りますJVC寺西、約20年の想いを語ります

"超"活発な質疑応答

ありがたいことに会場からは、たくさんの質問をいただきました。「なぜ北朝鮮の大学で日本語が教えられているのか」「北朝鮮へ行くにあたっての注意事項」など、皆さんの「相手を知ろう」とする姿勢を感じる時間だったと思います。(回答は本記事ラストのクーリエ・ジャポンのリンクをどうぞ)
「平壌の学生たちとは継続して交流できているのか」という質問への回答は、「手紙を送ることはできるのですが、返事が返ってくることはない。本人たちに届いているかも正直わからない。」
複雑な事情の絡み合う交流ですが、それでも地道に続けることで、道が開けるのだと信じています。まずは「相手を知ること」。この輪を少しづつでも広げて、続けていけたらと思います。

登壇者、右から堀さん、金さん、JVC今井、旭さん、長尾さん、JVC寺西登壇者、右から堀さん、金さん、JVC今井、旭さん、長尾さん、JVC寺西

9月21日(木)19:00~報告会を開催します!

今回のイベントは、8月28日のクーリエ・ジャポンに詳しく記事配信されています。
緊迫を深める隣国でも「人間」が生きているということ|北朝鮮からみた「日本」と「世界」

また、JVCは今年も8月に、他NGOとともに平壌を訪れました。情勢上の理由で大学生を同行しませんでしたが、2名のスタッフが渡航しました。現地の最新情勢をお話する報告会を、クーリエ・ジャポンさん、堀潤さんご協力のもと、開催します。同時期に現地渡航をおこなったイラク事業との同時開催です。この機会をお見逃しなく!

「北朝鮮」と「イラク」を知ろう!~現地でおこなう交流活動を一挙公開します~
■日時:2017年9月21日 (木) 19:00~21:00 (18:30開場)
■場所:講談社 2Fセミナールーム
■参加費:無料(要申し込み、先着100名)
■お申し込み・詳細:http://www.ngo-jvc.com/jp/event/event2017/09/20170921-koreairaq.html

JVCコリア事業詳細・ご寄付はこちらから:http://www.ngo-jvc.com/jp/projects/korea/

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