みんな、この状況をどう受け止めているの?
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の動向が、これまでになく耳目を集めています。アメリカによるシリアやアフガニスタンへの空爆もあり、北朝鮮が次の標的になるかもしれないという憶測、その反発で北朝鮮が国家行事にあわせて核実験を行なうのではないかという危惧。ミサイル発射実験が頻発し、日本では地下鉄の運転見合わせや避難訓練の実施など、「備え」の必要性が強調され、私たちはあふれる情報に翻弄されてしまった感があります。
多くの日本人が「北朝鮮の核やミサイルで、身の安全が脅かされている」と感じ、報道によってその危機感を更に募らせているのですが、いま一度、「みんなこの状況をどう受け止めているんだろう?」「たくさんこぼれ落ちているものがあるのでは?」そんな思いから生まれた緊急企画。集まってくださった様々な立場の方とスタッフが、少人数のグループにわかれて思い思いに語りあいました。
から騒ぎに翻弄されて・・・
本当に日本人の大半が「ミサイルは怖い」と思っているか疑問、との声はいくつも聞かれました。「大半はクール、または無関心なのでは」「まわりと話していて、北朝鮮はこわいけれど、よくよく掘り下げて考えてみたら結局戦争はできないよね、という結論になった」「米政権の出方がわからず、偶発的な事故が起きるのではという怖さはある」といった意見が出るなかで、在日コリアンの参加者からの「今回のようなことが起きると、否が応でもコリアンであることを意識させられてしまう」との発言は重みがありました。どこか現実味がない、無責任にも思える<から騒ぎ>によって、直に痛みを感じている人も少なくないのです。北朝鮮に行き平壌の人たちと実際に話を交わした経験を持つ学生は、「北朝鮮で軍人になると言っていた彼はどんな気持ちでいるのだろうか」と心配したり、「ミサイルだ、防衛だ、の延長線上で日朝が戦争になったら、北朝鮮にいる友人と殺し合わなければならないのか」とまで考えたと言います。
北朝鮮の人たちはどう考えているの?
また、「北朝鮮の人がどう考えているのか」にも関心が集まりました。日本人は当事者として関心が高くなるのは当然としても、「もう一方の北朝鮮側ではどう考えているのか、聞く機会もなく、関心も持たれない」「イラクやリビアの例を経て、核兵器がないと大国にやられる、と思わせてしまった」「北朝鮮は、日本と比較にならないくらい大きな緊張のなかで生きているはず」「北朝鮮の人たちは、北朝鮮がやっていることが正しいと思っているだろう」など、報道からは見通せない背景や、北朝鮮の人たちの声が伝わらず、一方的な立場で盛り上がってしまう報道への危惧が聞かれました。
韓国と日本との違いは?
日本での「ミサイル騒ぎ」とは対照的に、北朝鮮との国境から目と鼻の先のソウルでは特に大きな騒ぎになっていない、市民はいたって冷静、どうしてなのだろうか?という問いかけもありました。その理由に韓国と日本とのメディアの違いもあるのではないかという指摘から、今後メディアをどう変えていくかも、大きなカギになるという声があがりました。「5年、10年後を見据えて、いたずらに危機感をあおるような記事には違った見方からの書き込みを続けていく」「『これから平昌(韓国)、東京、北京(2022年冬季)とこの地域でオリンピックが続くのに本当にアメリカが戦争を起こせるの?』というような、誰もが『そうか、戦争にはならないな』と気付けるようなコメントをする」などのアイデアも出ました。
お互いの顔が見える交流
また、私たち自身の意識について、「お互いの顔が見えないと敵対意識が増幅される。(JVCが他団体と協力して行っている)北朝鮮の人たちとのフェイス・トゥ・フェイスの交流は、規模が小さくても重要」「『北朝鮮はおかしな国だから』と切り捨てず、『どうしてミサイルを撃つのだろう?』と立ち止まって考えるようになったら、少しは変わるのではないか」「北朝鮮の人たちにも、日本の人たちが『怖い』と感じているみたいだ、と知ってもらえたらよい」といった意見も出ました。
JVCは、90年代後半の人道支援をきっかけに北朝鮮に毎年足を運び、絵画交流や大学生交流によって人と人を繋げることで地域の平和づくりに寄与したいと考えてきました。 朝鮮半島の情勢が揺れ動く中で、メディアでは見聞きすることのない情報を皆さんに提供しながら、「本当にそうなの?」と議論をする場をこれからも作っていきたいと思います。
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朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との絵画交流、大学生交流を行っています。
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