11月30日(水)に、「マンスリー支援者のつどい:現地駐在員による活動報告(パレスチナ)」を開催しました。JVCをマンスリー募金を通じて支えてくださっている方を対象に実施したもので、早いもので3回目の開催となりました。
今回は、パレスチナから一時帰国中の現地事務所代表・金子が登壇。メディア取材を受けることも多いスタッフなので、どこかで目にしたことのある方もいるかもしれません。最近では中学校社会科用教科書「公民」にも掲載されています。
金子は大学で国際関係学を専攻し、卒業後の7年間は、難民支援のNGOやODA実施機関で勤務しました。また2011年には、クイーンズランド大学(豪州)で紛争予防及び平和学専攻の修士号を取得、卒業後は国連大学、外務省などでも勤務しています。パレスチナへは大学院卒業直後に訪問、現地NGOの活動にボランティアとして参加したことで「現代社会にこんなに理不尽な場所があっていいのか。この問題は絶対に無視してはいけない」と強い衝撃を受けたと言います。ここでの経験が現職につながっています。
パレスチナ・ガザ地区
金子は赴任当初から、主にガザ地区での活動を担当しています。ガザ地区は、南北に40キロ、東西に10キロで、東京都23区の6割程の大きさです。また、2006年にイスラム組織、「ハマス」が現地を実効支配するようになってから、イスラエルに一方的に危険視され、軍事封鎖されました。2016年までにイスラエルから3度の大規模な軍事侵攻があり、沢山の市民が殺されています。また、封鎖の時の混乱を加えれば、ガザ地区に住む9歳までの子どもは既に3~4回の戦争を経験していることになります。
普段から経済活動も厳しく制限され、域内の失業率は常に50%弱、事実、200万人いる人口の3分の1以上の人々が、国際的な援助を受けなければ生活することが難しいと言われています。2014年7月の"ガザ戦争"が記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
モノをあげない支援
国連のレポート(2015年末)によれば、14年の戦争被害者の99%の人々は、仮設住宅や、家賃補助、または家屋修繕費などの支援を受取っていますが、16年末現在、未だ76,000人が元の家に戻れず、建物の復興も含めて、実質的な復興率は50%に留まっています。加えて、戦争からの復興のほかに、環境汚染、医療サービスの不足、人口爆発、電力不足など、長期的に解決しなければならない問題が数多くあり、狭い地域に沢山のニーズが散らばっています。
このような状況の中JVCでは、現地パートナーNGOや住民ボランティアとともに「子どもの栄養改善支援」を行っています。金子は言います。「ガザの人は、『ものを与えられているばかりで、生きる実感がなくなってくる』と嘆いています。JVCは現地の人々の尊厳を回復し、協働する方法で関わりを続けたいと思います」
JVCのガザの事業では、モノをあげることに目的をおかず、ガザ地区のお母さんたち、ボランティアさんたちに向けて、子どもの栄養状態を改善するための研修を実施しています。これは栄養状態を改善するために、その場限りの栄養補給を目的にするのではなく、カウンセリングを通じてお母さんたちに栄養の知識が根付き、将来的にJVCを通さずとも、それぞれが自分の住む地域の子どもの栄養を守り、また指導にあたれるような仕組みとなることを目的として始めたものです。事業を始めて4年近くが経ちますが、子どもたちの栄養状況の目覚ましい改善は勿論、お母さんたちの知識や行動の変化も見られるようになっています。更に、尊厳の回復という視点から、ボランティアさんたちからも「人とふれあって役に立つことで、自分の価値を認められるのはうれしい」「自分の力で子どものことを守れるのがうれしい」などの声が上がっています。金子はもちろん、私たち東京のスタッフも、こうした現地からの声に支えられています。
民間資金で活動する意味
現在、ガザ地区で活動している日本のNGOは10団体近くありますが、そのうち、民間資金だけで活動しているのはJVCのみです。民間資金だからこそ、様々な制約を受けずに必要な活動を行うことができており、また顔の見える支援が可能になっています。今回の報告会は、普段このような活動を支えてくださっているマンスリー会員の皆さんと直接お話できる良い機会ともなりました。
報告会終了後は、恒例の事務所での懇親会に。お茶やお菓子を囲んで、ざっくばらんに意見交換や、現地での普段の生活話などに花が咲きました。
師走直前のお忙しい中ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。次回は年明けに企画をできたらと思っています。お会いできることを楽しみにしております!
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口座番号: 00190-9-27495
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