広報担当の大村です。先日、カンボジア出張に行ってきました。主な目的はとある撮影のコーディネートで、撮影前に必要な備品を集めることがミッションのひとつでした。今回紹介したいのは、その備品集め中のエピソードです。
準備のために滞在したのは、アンコールワットで有名なシェムリアップから車で1時間半程度の場所にあるJVCの活動地、コンポンクダイという村。シェムリアップ市街から車で1時間半と、距離としてはそこまで遠くはないのですが、風景は一変。あたり一面、のんびりとした農村風景が広がる田舎です。
私がこのコンポンクダイで、撮影までに調達しなければいけなかったのは、全身がうつる大きな全身鏡を2枚。都会のシェムリアップにはもちろん売っているけれど、車で1時間半も大きな鏡を運搬するのはちょっと現実的ではありません。コンポンクダイは小さなマーケットが1つだけある小ぢんまりとした村です。そもそも、村人のお宅にお邪魔した時のことを思い出しても、全身鏡があるお宅は、1つも記憶にありません。本当に調達できるだろうか...と不安を覚えつつも、とにかく探すのみ!さっそくマーケットに向かいました。
頼りになる相棒は、JVCでドライバーを約20年つとめてくれている、リツさんです。「鏡?たぶんどこかに売っていると思うけど...」と一緒にマーケットの中を探してくれました。
リツさんの名案内(そこら中の村人に聞きまくる手法)のもと、鏡屋さんに到着。小さなマーケットに鏡の専門店があることにちょっと驚きつつも、一安心。さっそく「全身鏡を2枚ください」と伝え、店内に入ります。...ところが、ないのです。店内に入っても、商品らしきものがありません。
不安に思い、もう一度、「全身鏡を2枚買いたいんですが、どこにありますか?」とトライ。かえってきた答えは「うん、分かったよ。今からやれば30分くらいでできるよ」
「!!!!!」
そう、ここは鏡屋さん。なんとすべての注文を、1からつくる鏡屋さんです。その場で外枠を必要な長さに四辺切って、次に鏡面を切って、枠にとりつけて完成させてくれるそう。「鏡=買う、じゃなくて鏡=つくる」。当たり前だけど、当たり前じゃなかった。日本では完成品を買うことが多いから、このような大事な発想力が失われがちですね。私はこういう、自分の「当たり前」が崩される瞬間が心底好きです。本当に心から、ワクワクする!鏡は「買う」ものって誰が決めたんだろう?自分の狭い考え方にちょっとがっかりしつつも、新しい世界が開けた嬉しさで、大興奮。お店の人やリツさんからは、「鏡が買えるのがそんなに嬉しいのか」と苦笑いをされましたが、その場で作ってもらえるなんて、そんな素敵なことはありません。邪魔にならないようにするから、近くで見て写真を撮ってもいい?と許可を撮り、一部始終を撮影させていただきました。
ここまでくれば、完成間近!と思いきや、外枠と鏡面の大きさが全然合わず、外枠を1から切りなおすことに。そのおおざっぱさに、個人的に親近感...(笑)。結局、予定時間は少しオーバーしたものの、見事なオーダーメイドの全身鏡が無事、完成しました!!!
時間にしてほんの30分の出来事でしたが、私にとっては忘れられない、大切な時間となりました。既製品を買う生活に慣れてしまっていた自分に、なんだかカツを入れてくれたようにも思います。ひとつひとつを丁寧につくって、生活をいろどる暮らし。目の前にあるものの成り立ちが、自然と想像できる暮らし。ひとつ前の加藤の記事(食べるという営みについて考える)にもつながる視点ですが、とても重要なことを再確認させてもらったように思います。どこの国や地域に行っても、現地の方に勉強させてもらってばかり。ああ、早く恩返しができるようになりたいなあ...と思う出張中のヒトコマなのでした。
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