11月7日(木)に岩崎駿介出版記念講演会
「福島原発事故を乗り越え、今をどうとらえ、今後をどう生きるか」が開催されました。
NGOの草創期にJVCの代表を務め、90年代には市民フォーラム2001の事務局長としてリオ地球サミット前後の日本の市民活動に地球環境問題の新たな地平を開いた岩崎駿介さんが、新著『一語一絵 地球を生きる』を出版し、これを記念して出版記念講演会が開催されました。私が生まれる前のJVCの代表。その力強い講演に、ただただ圧倒された2時間でした。
岩崎さんは東京芸術大学建築科卒業後、アフリカ・ガーナ共和国の国立科学技術大学で建築学の教鞭をとり、その後はハーバード大学大学院で都市デザインについて学んでいます。帰国後は故飛鳥田一雄横浜市長の考えに共鳴して横浜市企画調整局・都市デザインチームの初代チームリーダーに。アフリカ、アメリカでの生活の中で「外国で技術を切り売りして渡り歩くのではなく、ある特定の"地域"にしっかりと関わらなければならない」と思っての帰国だったそうです。横浜市では、私もよく知る山下公園付近のお仕事をはじめ横浜市の都市計画に携わられていたとのことで、その幅広い活躍ぶりに驚きました。
10年弱を横浜市で過ごし、そのあとは国連(UN-ESCAP)のスラム課長に。インド、タイなどのスラムを目の当たりにして、「大変な問題だ」と改めて実感されたとのこと、当時の写真をまじえての講演は、息つく間もなく進みます。タイでのエピソードが非常に印象的でした。当時岩崎さんご夫妻が滞在していたタイの村で、平地に住む都会に近い人々が山を焼いていたそうです。「何故山を焼くのか?」と問うと、「ブタのエサのトウモロコシをつくるから」と。当時、日本の飼料用トウモロコシはアメリカにつぎタイ産のものが多く、タイの人々はトウモロコシを育て、日本に輸出していました。そして日本ではそのトウモロコシを食べた豚肉がおいしく食べられていたのです。岩崎さんは言います。「目の前の豚肉を食べる時に、その豚肉が何を食べ、そのためにどこの国で何が起きているのか、明確に意識しなければならない」と。私は衝撃を受けました。当時の日本の豚肉の裏には、岩崎さんの目の前で焼かれるタイの山があったのです。これに限らず、このような事象を明確に意識して生活している人はどれだけいるでしょう。岩崎さんはこのような経験のもと、「地球は丸く繋がっている」との結論に行きついたと言います。
岩崎さんは2001年から茨城県石岡市に移住し、「自分のものは自分でつくる」「半農半X」の生活を実践されています。"落日荘"という名のご自宅を、8年かけて奥様と2人でつくられました(今も建築中)。食べ物だけではなく、自分達の住処を自分達で作る姿勢。本当に素晴らしい背中を私達に見せてくださっていると感じています。講演後はJVCアフガニスタン担当の加藤との対談もあり、20代の若手スタッフ×70代の岩崎さんの活発な意見交換の場となりました。「年齢は関係ない。精神をもって肉体を制覇する気持ちで、今後も計画を立てていく」との力強いお言葉に、私達の世代も時代の波をしっかりと読み取り、自ら考え、新しい規範と行動力を生み出していきたい、負けてられないなと考えさせられる講演となりました。
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