毎年6月20日は「世界難民の日」と、2000年に国連総会で決議されました。

JVCの事業地のひとつ、スーダン・南コルドファンでは2011年6月に再発した紛争がなおやまず、数十万人が影響をこうむっているとされ、多くの住民が自宅と畑を捨てて、避難しています。
ある家族は血縁を頼って州都カドグリへ。別の家族は国境を越えれば「難民キャンプ」というところで食べ物をもらえるらしいと聞いて南スーダンへ。
どちらも空腹を抱え、兵隊に脅えながら山中を夜間歩き通し、数日かけてようやく目的地に到着しました。
もとの村に戻れるのか、自宅や畑はどうなるのか、はぐれた親きょうだいと会えるのか、そして村の人たちと再会できるのか・・・国内に留まっても、国外に出ても、不安な避難生活が待ちうけています。

このように国内で避難した人と、国外に避難した人のあいだには、互いに音信を交わすすべがないために、不信が育つことがあります。
うわさで「○○にいるらしい」と聞くだけなのに、国外に避難して「難民」として生活する人たちは「裏切り者」と言われ、国内に留まって別の地域で生活を建て直そうとする人たちは「政府支持者」と決めつけられます。
政治に、ましてやこの戦争をやめようとしない人たちに関わりのない市井の人々が、互いに憎悪を募らせる状況は、日本の私たちにもけっして他人事とも思えません。
JVCは、この紛争によって南と北に生き別れた家族、戦争がはじまって以後、消息の分からない隣人の話をたくさん聞きとりました。
カドグリと南スーダンで元は同じ村に住んでいたり、同じ職場で働いていたどうしがそれぞれを罵る言葉を聞くこともありました。
「もし元の村に戻っても、もう一緒にやってくことはできない。きっと追い出してやる。あの村は俺らのものだ。」
けれども、その「俺ら」にはもともとは相手も含まれていたはずなのです。

難民になる、あるいは国内避難民として暮らす、好んでそうなった人はいません。
戦争が始まるまでは自分の家で自分の畑を耕して、自分の村で暮らしていたのに、よく知らない土地でお金も家財も失ったばかりか、食べ物や台所道具に至るまで他人から貰い、その上、これまで親しくしてきた知人や親戚と分断され、憎悪を互いにいだくようになる。
これはあまり注目されていませんが、難民生活の大きな負の側面であると言えます。
もし速やかに戦争が終結し、国内外に避難している人たちが自分の村に戻ったとしても、
このいわれのない憎悪が育っていたとしたらどうなるでしょうか。
かれらが自分の村に戻って穏やかな暮らしを再開する日を期待し、わたしたちJVCはその日に備えて、避難生活のあいだの支援をするだけでなく、分断された人々のあいだに不信と憎悪の芽が育たないように和解を目指すことも、援助団体として忘れてはならないと考えています。
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