\n"; ?> JVC - カンボジア連続セミナー(第4回)報告 - 東京事務所スタッフ日記

カンボジア連続セミナー(第4回)報告

カンボジア市民フォーラム事務局調整員 上村 未来
2012年11月27日 更新

11月7日に、ネットワーク団体カンボジア市民フォーラムが主催する2012年度カンボジア連続セミナー(第4回)に、JVCカンボジア、CLEANプロジェクト・マネージャーの坂本が講師として登壇しました。以下の文は、カンボジア市民フォーラムの事務局調査員である上村未来さんに書いていただきました。

セミナーの概要

講演中の坂本貴則(JVCカンボジア、CLEANプロジェクトマネージャー)講演中の坂本貴則(JVCカンボジア、CLEANプロジェクトマネージャー)

2012年11月7日、JVCカンボジア、CLEANプロジェクト・マネージャーの坂本貴則さんを講師にお招きし、2012年度カンボジア連続セミナー(第4回)が開催されました。カンボジア連続セミナーは、JVCもメンバーであるネットワーク団体のカンボジア市民フォーラムが、上智大学アジア文化研究所の共催を得て、4年前から開催しています(※)。

今回のセミナーは、「カンボジアの経済発展と農村開発NGO-日本人が農村に関わる意義とは-」というタイトルでした。近年、経済発展が急速に進むカンボジアにおいて、農村開発NGOの役割は何なのか?そして、農村に関わる意義とは何なのかをテーマの中心に据えて、お話いただきました。

カンボジアの現状とJVCの取組み

坂本さんは、(1)カンボジアの経済発展、(2)カンボジア政府の農業政策、(3)JVCカンボジアの農村開発事業、という順序でお話されました。以下、簡単に要約します。

(1)カンボジアの経済発展
カンボジアのGDP成長率は、1999年~2008年まで年平均9.5%を記録し、順調に成長を遂げた。また、日本の企業進出も進んでおり、商工会に加盟する日本企業は、この数年で倍増した。その一方で、所得分配の不平等さを示す指標のジニ係数は、1994年に0.35であったのが、2004年に0.4、2011年には0.44にまでなり、格差は拡大傾向にある。

(2)カンボジア政府の農業政策
 カンボジア政府は、国家開発戦略である「第二次四辺戦略(2009-2013年)」のなかで、1つの柱に「農業部門の強化」を掲げている。とくに農業政策のなかでも「食の安全、生産性と多様性」を重要視し、粗放的農業から集約的農業への転換や、農業普及員の能力強化に努めることなどを謳っている。

(3)JVCカンボジアの農村開発事業
JVCカンボジアは、「生態系に配慮した農業と自然資源管理による生活改善プログラム(CLEAN)」のなかで、食品加工グループへの支援、生態系農業基礎研修、苗木の生産、地域・学校での環境教育を行っている。2年前から始めた食品加工グループへの支援は、昨年は良い結果を残し、今年は生産量を大幅に拡大しただけでなく、他の村にも活動を広げようと取り組んでいる。

日本人がカンボジア農村に関わる意義とは?

最後に坂本さんは、日本人が農村に関わる意義について触れました。「外部から違った考え方を押し付けるのではなく、何か今までと違った視点を提供することで、逆に、今までのやり方はなぜそうしてきたのかを考えるきっかけにもなること」が、その意義であるというお話でした。

坂本さんの報告終了後、フロアからは様々な質問が出ました。特に興味深かったのは、日本の農村開発支援のあり方が、他の国の支援とどのように違うのかという質問です。坂本さんのお話では、日本の農村開発NGOのように、一つの地域に定着してプロジェクトを実施するスタイルは、欧米系のNGOにはあまりみられないとのことでした。

急速に経済発展が進むなか、貧富の格差が広がるカンボジア。経済発展の恩恵を受けにくい人々に対して、JVCのように地域に密着して支援するかたちは、いまのカンボジアのなかで重要なものなのだと、お話を伺って感じました。カンボジア市民フォーラムは、これからもJVCの活動を含め、カンボジアの状況を継続的に注視していこうと思います。

セミナーの様子セミナーの様子

(※)下記のとおり、以前にもJVCスタッフの方にお話いただいたセミナーがあります。

  • 2011年度第1回 カンボジアにおける農村開発NGOの役割を問う:今NGOが直面する課題・政策提言と現場の活動から(報告者:JVCカンボジア 若杉さん、樋口さん)
  • 2010年度第5回 経済成長とカンボジア農村:経済発展は貧困問題を解決するのか?(報告者:JVCカンボジア 山﨑さん)

なお、過去のセミナー資料は300円で販売しています。資料郵送をご希望の方は、カンボジア市民フォーラム(pefocj@hotmail.co.jp)までお問い合わせください。

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