7月13日、イラク担当の原による現地報告会「今、イラクはどうなっているのか?」を開催しました。
前半はイラクの状況を報告。イラクのクルド地区には、隣国シリアから難民として逃れている人たちが9千人います。原もキャンプを訪問。「今何が必要か?」の問いに、物資よりも「仕事が欲しい」と切実な声が。しかしイラク人の失業率が40%(様々な数字あり)という中、非合法な形でイラクに避難してきたシリア人が仕事を見つけるのは困難が立ちはだかります。私たちにどのような支援ができるのか―。物を届けるだけでは解決できない問題を前に、簡単に答えが出ません。
「日本人がスレイマニアに入るにはどんな手続きが?」「キャンプにはアラブ人もクルド人もいるの?」参加者はすでに中東に関心が深い方が多く、具体的な質問を多くいただきました。
ここでアラブのお菓子で一息休憩。パイの層にピスタチオが入ったポピュラーなお菓子「バクラワ」です。(「おいしかったのでもう一ついいですか?」という方もいらして嬉しい!)
後半は焦点をキルクークでの取り組みに絞って。
ここはアラブ人、クルド人、トルクメン人、アッシリア人と様々な民族が微妙なバランスのもとに暮らす、緊張度の高い地域です。民族間の諍いが紛争の火種になりかねません。
そんな中で、なんとか多民族が理解し合って暮らせないかと解決策を考えるイラク市民たちがいます。鍵になるのは子どもたち。様々な民族の子どもたちが集まって、一緒に絵を描いたり工作をすることで、お互いを尊重し合い、理解しあうことにつながるのではないか。そんな取り組みをイラクの地元団体の人たちが行っています。この活動に共感したJVCが、ワークショッププログラムづくりや資金面で運営を支援しています。
それぞれの民族衣装を描いたり、お祭りを紹介したり。民族を超えてグループを作り、一緒に「平和の町」を作ったり。仲良くなった子どもたちは、昨年の日本の震災のニュースを聞いて日本に向けた絵画作品も作ってくれました。そんな子どもたちの様子を見て、少しずつ親も影響を受けてきます。地元のテレビ局でも紹介されるなど、点であった取り組みがゆっくりと広がりを見せてきています。
しかしJVCの担当者として何よりももどかしいのは、キルクークの治安が悪いために活動地に入れないこと。原はキルクークから車で1時間ほどのスレイマニアまで訪れ、そこでイラク人と打合せをしながら活動を進めています。
「入れる、入れないの判断はどうするのですか?」との参加者の質問に、「自分の安全だけでなく、外国人を受け入れる地元の人の安全を考えなければならない。『外国人に関わった』とイラク人が危険な目に遭うこともあるのです」と原。遠隔での活動がスムーズに進むよう、日頃から信頼関係を築くことが大切です。難しい状況が続くイラクですが、現地の人たちと共に考え悩みながら、少しでも平和な暮らしを取り戻せるようにこれからも動いていきます。
紛争地域での支援をもっと知りたい!という方は、ぜひこちらのセミナーにもご参加ください。
8月4日(土)・5日(日)「JVC夏期講座 現場から学ぶ人道支援」
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