震災の発生から2ヶ月。復興の息吹が感じ始められているものの、いまだ手つかずのままの被災地も多く残ります。JVCが運営支援をしている気仙沼市災害ボランティアセンターには全国から毎日多くの市民が訪れ、被災された方から求められる様々な作業に取り組んでいます。ちょうど被災から2ヶ月の節目となった5月11日、JVCのスタッフやインターン、ボランティアなど24名が気仙沼市での災害ボランティアに参加しました。
ボランティア受付
この日は全国から約230人のボランティアが参加。ゴールデンウイーク後の平日は大幅なボランティア減が懸念されていましたが、「数週間前からゴールデンウイーク明けの参加を呼び掛けたこともあって、今日もたくさんの人が来てくれてよかったです」と受付を担っているJVCスタッフ。新規参加者よりも継続参加者の受付に長い列ができていました。
長袖長ズボン、耐油手袋、長靴、ゴーグル、防塵マスク...と、必要な装備を準備し受付へ。作業中に怪我をした場合の対応などの説明を受け、ボランティアであることを示すゼッケンや名札を身に付けます。
派遣先を決める
受付が完了すると、派遣先を決めるエリアへ。「家財の撤去、男性5名!」「支援物資の仕分け、女性3名!」ボランティアセンタースタッフの呼びかけに、「はい!」「はい!」「はい!」と希望者が手を挙げ、テンポよく配属先が決まっていきます。
24名のJVCメンバーも、被災した家屋の家財撤去や避難所の物資仕分けなどそれぞれの派遣先が決まりました。活動地へ向かう前に必要なのが、道具の準備です。派遣先の情報をまとめたシートに従い、道具コーナーで必要数を受け取ります。例えば「家屋の泥出し・清掃・家財撤去」の作業で必要なのは、スコップ、手押し車、どのう袋、バケツ、デッキブラシ、ほうき、ヘルメットなどなど...。
全てを揃え、さあ準備完了。早く作業を始めたい!と気が高まりますが、ここから車両を待つこと30分。ドライバーさんも車も数が限られるなか、焦らず待つこともボランティア作業を円滑に進めるために大切です。いよいよ車が到着し、荷物を積み込みます。「スコップの前にまずネコ載せて!」「ネコ...?」一輪の手押し車は「ネコ」と呼ばれることを覚えておきましょう。
被災した家屋へ
JVCメンバー6人を含む13名のグループが派遣されたのは、港のそばの家屋でした。依頼者である家族にご挨拶し、作業内容を確認して室内へ。倒れて重なり合うタンスやベッド、泥まみれのガラスや断熱材の破片が散らばる床。改めて見せつけられた津波の威力にしばし言葉が出ません。
いよいよ作業開始。男性陣は2階の勉強机やベッドなどの家具を解体しながら外へ運び下ろします。この場で初めて知り合った人とも息を合わせて、「せーの!」
女性陣は床に散乱したガラスや土を掃き集めたり、室内に溜まった泥をかき出したりと手分けして進めます。土まみれの床には、子どもの片手だけの手袋や、算数のノート、ぬいぐるみ、キティちゃんの缶...、どれも思い出がつまっているものでしょう。「取っておくかもしれないもの」は泥や草を落として分け集めておきます。
またこの家で暮らせるように
依頼者である家族は、今後再びこの家に住むことを希望していらっしゃるそうです。私たちボランティアにはしゃいで挨拶してくれた女の子はまだ2歳。この子が安全に暮らせるように、と思うと作業もより丁寧になります。あっという間に3時の終了時間を迎え、最後は皆でしゃがみこんでガラスの小さな破片が落ちていないか確認しました。
津波の水が溜まったままだった土鍋やフライパンを前に、「このうちはお父さんが料理好きなのよ」と話してくれたおばあちゃん。「この梅酒は夫が作ったの」と奥さん。家族がこの家で食卓を囲む日が早く訪れるよう願うばかりです。
今日の作業でこの家屋のおおよその片づけは完了し、残る大型家具の撤去は地元の大工さんへと引き継がれることとなりました。
他のグループでは避難所での物資の仕分けや配布、また商店でシートなどを掃除するお手伝いなど、JVCメンバーがこの日取り組んだ作業はさまざまです。男女関わらずボランティアの手が必要とされている状態に変わりはありません。ボランティア参加に関心がある方は気仙沼市災害ボランティアセンターのHP(http://msv3151.c-bosai.jp/group.php?gid=10247)をご覧ください。
未曾有の災害を前に、私たちJVCにできることは小さなことでしかありません。一人ひとりの思いに丁寧に寄り添い、この地に生きてきた方たちが望む暮らしに一歩でも近づけられるよう、NGOとしてできることを続けていきます。
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