みなさまこんにちは。すでに今年の夏休みを使いきった総務担当の細野です。
先日、映画の配給会社 uplink さんのご好意で、映画『未来の食卓』の試写会に行ってきました。
この映画は、フランスのある村で、学校の給食をすべてオーガニック食材を使ったものにしよう、という試みを描いたものです。
貧困や経済格差、環境などをとりあげたドキュメンタリー映画をこのところよく見かけますが、この映画もそのひとつと言っていいでしょう。ただ、ほかの映画と違うところは、大上段の話が延々とつづくのではなくてかわいい子供たちがたくさん出てくるので、見ていて飽きないことですね。
冒頭、UNESCO本部での会議場のシーンにおける「ある発言」から、観客は一気にこの映画が描こうとするテーマに引き込まれます。
その後、オーガニック給食を食べる子供たちだけでなく、周囲の農家の人々や給食を作る給食センターのコックたち、村長さんをはじめとする村の人々、村の試みを視察に来る外部の人々...、さまざまな人にインタビューを重ねていきます。
この試みに賛成の人、懐疑的な人、様子見の人、学校でオーガニックの野菜を育てる子供たち、なかにはそれでも前の給食をなつかしむ子供もいます。
そして、農作物の栽培で使っている農薬が原因で(と思われる)体調を崩して亡くなった娘さんのことを話す母親が出てきます。
農家の人が、自宅で食べる用の野菜と出荷する用の野菜とを別々に栽培している、というようなことは日本でも聞く話ですが、 その姿から、私たち一般人の普段の食生活を成り立たせている農業の仕組みの一端を垣間見ることができます。
「個人的には、もう以前の状態には戻りたくない」
これは、学校の給食を作っている給食センターのコックさんが、外で子供たちと"新しい"給食について話している場面で言っていたセリフです。
農家の人たちだって、親たちだって、コックさんだって、みな、健康にいいものを育てたい、作りたい、子供たちに食べさせたい、と思っているはず。でもそうはいかない・できない数々の事情に対して、一人一人にできることはないのだろうか。
そういう意味ではこの映画は、食べ物のことにかぎらず、「すでにできあがってしまっている大きな"流れ"に対して、私たちはいかに対抗できうるか」ということを問うているのだと思いました。
大きな流れ自体を一気に変えることはできない、であれば、変えられる範囲から変えるしかない、それは一番小さい範囲である自分自身の周りである、だから、まずは自分の村の給食から試してみるのはどうだろう、という流れも見えてきます。
「日本には可能性があると思っています」
来日されていた監督が試写会の最後のあいさつでこう話されていました。映画の舞台となったフランスと同じく、日本も"先進国病"におかされていると。しかし同時に、長い歴史と、自然と共存しながら生きる昔からの文化をもつ日本人には、現代の環境問題に貢献できる可能性があるはずだ、ということでした。
はたして、私たち日本人一人ひとりは、その可能性を現実にかえることができるでしょうか。日本の美しい四季や地方ごとに異なる多様な文化を、これからも守ることができるのか。どんなに遠く思える世界的な課題でも、最終的には自分自身が問われているんだ、といやでも思い知らされます。
ぜひ多くの方に見て考えてもらいたい映画ですので、以下に映画の予告編を貼り付けておきました。また、第2弾もすでに撮影に入っており、日本もその舞台のひとつになっているとのことでした。
(総務担当 細野)
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