3月30日、地域づくりに関する事例視察を行いました。当日は、10名の住民とともに気仙沼市周辺における三つの事例について学びました。
初めに訪れた「株式会社サンフレッシュ小泉農園」は、気仙沼市本吉町にてトマトの水耕栽培を行っています。まず、施設の内部を見学しながら農園の代表者から設立の経緯や事業内容、施設の設備に関する説明を受けました。また、この農園では、およそ40名の地域住民が働いています。参加者からは、雇用の場ができたことによる地域への影響等について質問が出されました。
次に、南三陸町で活動する「NPO法人びば!!南三陸」を視察しました。この団体は、2014年、外部支援団体の協力を得て、高齢者の活動拠点の再生および住民間交流の活性化を目的とした施設「晴谷驛(ハレバレー)」を建設しました。現在、この施設では、クラフトや習字、エコ平板(※)などの講座が行われており、地域で暮らす高齢者が参加しています。団体のメンバーによる説明を受けた後、エコ平板が敷き詰められた施設の内部を見学しました。参加者からは、「晴谷驛(ハレバレー)はどのように運営されているのか」、「どのくらいの頻度で活動しているのか」等の質問がありました。
続いて、地元の新鮮な野菜や海産物を使った家庭料理を提供する「農漁家レストラン慶明丸」を訪問しました。このレストランは、震災前から南三陸町出身の三浦さき子さんによって営まれてきました。2011年、震災により店舗を流失しましたが、地域住民や外部から訪れるボランティアが集える場をつくろうと、2013年にレストランを再開しました。昼食をとりながら三浦さんから震災当時の様子や再開に至るまでの経緯などについて説明を受けました。また、三浦さんと参加者との間で、海の幸などの地域資源を生かした取り組みに関して意見交換も行われました。
視察後、参加者から「身近なところでも様々な取り組みが行われていることがわかり、刺激になった」、「地域資源が豊富な浦島地区には、いろいろな可能性がある」といった声が聞かれました。
2015年度、JVCは、住民とともに先行事例の視察や講演会を実施し、廃校活用や地域づくりに関する知見を深めてきました。こうした活動を通じて、他地域における取り組みを学んだ住民の間で、「(浦島地区の住民や出身者の中から)有志を募り、旧浦島小学校施設を活用しながら地域資源を生かした新たな取り組みを始めよう」という動きが生まれ始めています。2016年度、JVCは、住民による新たな取り組みへのサポートを実施していきます。
※エコ平板とは、建設現場などから廃材として出される石や陶器、瓦等を細かく砕いてコンクリートの平板に貼り付け、色彩豊かなモザイク模様に仕上げたものです。