昨年2月にJVC気仙沼事業の全スタッフで2013年度事業計画を協議していた際、「震災の記憶を風化させてはならない」「関心喚起を図るために被災地の現状を首都圏でも積極的に伝えるべきだ」という意見が出された。これを受け、13年度後半からは首都圏における広報活動を強化することとし、気仙沼の現状を伝えるチラシの駅前での配布や大学の講義等における気仙沼事業活動報告などを行ってきた。
去る3月15日には、東日本大震災から3年の節目を迎えた機をとらえ、東京都江戸川区で「和太鼓がつなぐ江戸川と気仙沼―首都圏でもできる復興支援!―」というイベントを開催した。JVC気仙沼が支援活動を行っている四ヶ浜地区にある「小々汐(こごしお)打(うち)囃子(ばやし)保存会」を招いて「江戸川区太鼓連盟」との共演を行い、来場者に大震災復興支援の今後の在り方を見つめ直してもらいたいという願いを込めたものであった。
「小々汐打囃子保存会」と「江戸川区太鼓連盟」とは、2011年の太鼓寄贈による支援や浦島小学校「学習発表会」への参加以来の交流が続いていたが、それぞれの生活再建に直面している「保存会」を東京に招くことは叶わぬままに2年半が経過していた。大震災から3年の節目を迎えて最初の週末となるこの日、午前6時に気仙沼を出発するスケジュールを強行し、首都圏における念願の「協演」をようやく実現することが出来た。
午後6時に「和太鼓がつなぐ江戸川と気仙沼」は開会し、第一部としてJVC気仙沼活動報告を行い、「保存会」の方からは、200名を越える来場者に対して大震災後の気仙沼の状況が語られた。第二部では、「江戸川区太鼓連盟」所属の「江戸川太鼓」・「江戸っ子わんぱく太鼓」・「江戸の粋 寿太鼓」の演奏が披露された後に「小々汐打囃子保存会」が登場した。
小々汐打囃子保存会の登場と同時に場内からは歓迎と激励を込めた大喝采の拍手が送られ、尾形会長の挨拶の後に小々汐で長年にわたり伝承されてきた太鼓演奏が披露された。そして、終盤には「保存会」の演奏に「江戸川太鼓」が飛び入り参加して「海潮音(みしおね)」という曲の協演がなされ、割れんばかりの鳴り止まぬ拍手の中、復興支援イベントの幕は閉じられた。
今回は昨年の秋以降に行ってきた「東日本大震災被災地の現状を首都圏で積極的に伝える」活動の一端を紹介した。これらが、首都圏で暮らす人々に改めて東日本大震災について思いを致すきっかけとなることを願ってやまない。JVCは、今後も現場での住民に寄り添った支援活動と並行して「首都圏でもできる復興支援」の手法を模索・検討・実施して行く。