前回、農具の選定などについてご紹介しました。
今回はその配布や管理についての女性たちとの話合いについてご紹介したいと思います。
農具の配布
さて、いよいよ配布の日です。キャンプの女性たちのボランティアになって、農具とジョウロを1セットずつ並べて、ひとりひとりに渡していきます。配布には南スーダン政府の救援復興委員会(RRC)の職員に立ち会っていただきましたが、なんと、職員の方々もボランティアとして配布を手伝ってくれました。
配布リストにあるのは89名ですが、思っていた通り、配布場所には「自分も菜園をやっているのに、名前が載っていない」「これから始めたい」という女性たちがやってきました。世話役の女性たちの確認のもと、こうした女性たちにも配布を行い、用意した100セットはすべてなくなりました。
併せて、共同利用する手押し車10台も引き渡しました。
配布は約1時間で無事に終了。
この様子を南スーダンの国営テレビSSBCがカメラに収めており、女性リーダーのマリーさんと、私へのインタビューも収録されました。
手押し車を巡ってひともんちゃく
配布終了後、キャンプリーダーのピーターさんと女性たちとの間で、手押し車10台の管理について話し合いがなされました。
「キャンプにあるコンテナの倉庫に10台をまとめて保管して、キャンプリーダーが任命する管理人が必要な時に貸し出す、これでどうだ」
とピーターさんが提案すると、マリーさんをはじめ女性たちは一斉に反発。
「まとめて保管するのはダメ。男性が管理するのもダメ。きっとまた、前と同じようになっちゃうでしょ」
みんなが反発するのは、何やらワケがありそうです。以前、事件があったのでしょうか?
「あの時、男たちが手押し車も農具も全部持ち出して、どこかで売っちゃったでしょう?ちゃんと覚えてるわよ」
マリーさんの話によれば、以前にも援助団体から農具や手押し車の支援があったそうです。その時、コンテナで管理していたら、いつの間に男性たちがキャンプの外に持ち出して売り払ってしまったらしいのです。
最初に手押し車の支援の話をした時に、彼女たちが「1人に1台でないなら必要ない」といっていたのは、そういう経緯があったのだと分かりました。
でも今回は、話し合いの中で女性たちがグイグイと主張して、ピーターさんは劣勢です。最後には、「倉庫にまとめて保管」するのではなく、女性たち自身が話し合いで管理方法を決めることで決着しました。
しばらくしてキャンプを訪問して、「手押し車はどこで保管しているのですか?」と尋ねると、マリーさんがあるテントに案内してくれました。テントの中には、2台の手押し車が保管されています。
「キャンプの中は5つの住区に分かれていて、それぞれに女性リーダーがいます。そのリーダーに、手押し車を2台ずつ自分のテントで保管してもらっています。住区の女性たちは、使いたいときにリーダーのところに来て借りられるのよ」
話し合いの結果、そのような管理方法を取るようにしたとのことです。
こうして、農具と灌漑用具、手押し車の引き渡しが完了しました。また、女性グループとの話し合いの結果、5種類のタネ(落花生、ササゲ豆、ナス、オクラ、モロヘイヤ)も支援しました。 4月には本格的に雨が降り始め、種まきが行われました。 種まき、そして作物が育つ様子は、次にご報告します。
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