JVCラオスの森林プロジェクトを立ち上げた赤阪むつみさんが、ビエンチャン入り。昨日から今日にかけて、たくさんの話をすることができた。むつみさんと、きちんと話をするのは、実に9年ぶりのことになる。
自分がバックパッカーだった96年1月、突然、JVCラオスのカムアン事務所を訪れた。悟さんとむつみさんは、どこのウマの肉か骨かもわからないような青二才に、昼夜を問わず、ラオスやプロジェクトの話をしてくれたことを、昨日のことのように覚えている。あの当時、とてつもなく深い情熱と知略に心底酔いしれ、ラオスと関わっていくことを決意した。わたしが、いまここにいるのは、この二人と出合ったから、といっても過言ではない。
プロジェクトは、「詰め将棋」に似ている。局面を読み、持駒を最大限活用して、王手にいたる最適な詰手を考え抜く。そのために、プロジェクト担当者は過去の棋譜や定跡を研究しておく必要がある。また、それを村人とあれこれ考えるのが参加型といわれるのだろう。
悟さんとむつみさんは、「村の権利を守る」という王手のために、「土地森林委譲事業(Land Forest Allocation Program)」という1手を打った。あの当時の棋譜を読むたびに、凄烈と知性を感じる。そう、実に、熱を帯びた美しい棋譜なのだ。
しかし、自分のいた4年間で、王手に至らなかった。敗北ばかりが積み重なったような気さえして、正直、申し訳なさのほうが先に立つ。だけど、むつみさんの口から「よくやってきたんじゃない」という言葉を聞き、安堵と共に、なにか熱いものがこみ上げてくる。
96年のタケークで、みんなで思い描いたプロジェクトの理想像を目指して、ここまでがむしゃらに駆け抜けてきました。ただ、もうそろそろ、自分も、肩の荷を、次の人に渡す時がきたようです。