うちの男性ラオス人スタッフが、「あの村のあの(女の)子たち、最近見かけないんだよな」といったのがきっかけで、出稼ぎの話しになった。
ここカムアン県は、タイと国境線を接していることもあり、タイへの出稼ぎ労働者が多い。そしてその大半が違法に国境を渡っている。
出稼ぎそのものを否定するつもりはない。ただ、稼いだお金だけでなく、いろいろなものを村に持ち込んでくる。それはドラッグだったり、エイズだったり、タイの今時の若者の考え方だったり。そしてさまざまなものを失う・・・・・・。
自分は、大学院生時代、山村調査のために、埼玉県の大滝村に毎年通わせてもらっていた。都市近郊の山村で、そして典型的な過疎山村であった。村のおばあちゃんは、「昔は子供の声が絶えないにぎやかな村だった」という。高度経済成長期に子供や若者たちは街に出て行き、年寄りと役場の人だけが村に残った。今は、どこまでいっても、風の音しか聞こえない。
ぼんやり生きてきた私は、その現実を突きつけられても、ひたすら無責任だった。「あんただったら、この村をどうするんか?」と、村のおじさんの、静かだけど、でもどこか懸命な問いに、ひきつったうす笑いで逃げるしかなかった。なんもできんくせに、覚悟もないくせに、調査なんてひきうけるんじゃなかった。情けなく、悔しかった。
今、場所こそ違えども、同じような局面に立つ村人と関わっている。
今こそ、あのおじさんの問いに答えるチャンスなのだ。