SRI (幼苗一本植え)スタディーツアーと報告会
SRI(System of Rice Intensification: 幼苗一本植え、詳しくは先月のマンスリーレポートをご参照ください)を紹介するビデオ上映を6月に終え、7月上旬にスタディーツアーを行った。5つの村から各村2〜3名が参加し、2008年までプロジェクトを行っていたカムアン県のある村を訪れた。訪問前日には夕食を食べた後会議を行い、全ての参加者が訪問時に聞きたいと思っている質問を確認した。挙がった質問は14問で、例えば
‐SRIに適した稲の品種は?
‐肥料はどんなものを入れる?
‐稲の分桔が多いというが、普通のやり方に比べてどれくらい多い?
などといった質問。これらの質問を聞くことを確認した上で、村に戻っての報告会に備えてノートとペンが支給された。
当日は焼け付くように暑かったが、参加者は熱心に質問を畳み掛ける。家での話し合いもさることながら、やはり実際に田んぼに出て質問する際は、参加者の顔も一層活き活きしている。また、受け入れ側の村人について印象的だったのは、参加者のどんな質問にもよどみなく答えることができ、またいい事ばかりでなく、SRIの難しい点は難しい点として、キチンと説明していたことだった。
その後、ある村で参加者による報告会にオブザーバー参加。参加者の一人である村長は、来年自分は必ずSRIを実行する、と宣言。また、傾いた田んぼでSRIを行うのは難しいのだが、そのことにもついても、「“田んぼが平らでない”と言う者も多いが、大抵はどこかしらに小さくとも平らな田んぼを持っているはずだ、だったらそこでやってみるんだ」と熱弁をふるった。別の参加者は堆肥・液肥作りについて説明し、自分が指導役を買って出てもいい、と名乗り出た。「そんなふうに上手く行くのかい」と疑いの目を向ける村人もいたが、「疑うなら、とにかく少しでも試してみればいいじゃないか」とやり返す。自分の目で見ていない人が完全には信じきれないことは、無理もないこと。とにかく村人の中になにかしらの熱が生まれたことは実感できた。
熱心に話を聞く参加者井戸支援話し合い続報
先月のマンスリーレポートでお伝えした井戸の支援だが、P村では井戸修理基金の設置に村人が合意し、強いリーダーシップの村長の掛け声のもと基金の徴収も始められた。しかし規則の細部がまだ決まっておらず、それを詰めることになった。村人の意見として、故障がなかなか起きず、ずっと基金が貯まっていったらどうするのか、という声が挙がり、これに応じてその際は貸し出すという意見が出る。しかしながら、毎年集める金額は大きなものではなく、安易に井戸修理/建設以外に廻すべきではない。JVCの井戸支援修理きっかけとはいえ、彼らの集める基金である以上やたらに規則に口出しできるものではないが、井戸修理/建設以外には使わないほうがいいのでは、ということは話し合いの際に提案した。
やはり修理の依頼のあるN村とも話し合いを続けるが、こちらはP村とは状況が異なる。P村には使える井戸は2つ。そのうちの1つが問題となっている故障したもの。世帯数も少なく、上記の井戸基金は、村ぐるみの活動としてその両方の井戸の修理に充てられる。これに対して、N村は世帯数も多く、共用井戸も4基あり、そのうち1基が故障中という状態。そして最大の違いは、地下に岩盤がなく、安価に小さな井戸が掘れるため、個人所有している人も少なくないこと。こうなると、P村のような村ぐるみの基金は難しいかも知れない。話し合いを継続する。
井戸基金規則(まだ改訂中)養魚スタディツアー
JICAがサワナケートで行っている魚の養殖プロジェクトの現場視察に同行させていただく形で、ピン郡の同プロジェクト地を視察する。先月のマンスリーリポートに記した通り、ため池等で魚を育てている村人はそれなりにいるのだが、あまりこれといった知識や技術を活用している様子ではない。そこで今回は、技術そのものを学ぶこともさることながら、稚魚を買ってただ放すだけでは成果は上がらない、様々な技術があり、手をかけないといけないのだ、ということを先輩たちから学んで欲しいと考えた。
受け入れ側の村人は、「私もかつてはただ稚魚を放っていただけで、成果があがらなかった。それはきちんとした手順、技術を用いていなかったからだ。プロジェクトから様々なことを学んだ。やり方次第で成果はあがるのだ」と話を切り出した。同じような問題を抱え、そしてそれを一足先に解決した人々から話を聞く、これこそが農民交流の最も重要かつ意義深い点であり、村人も非常に熱心に聞き、また質問を重ねた。
稚魚に餌をやるための木枠LUPLAスタディーツアー
以前にもこのマンスリーレポートでお伝えした通り(3月のレポートをご参照ください)、現在LUPLA(Land Use Planning and Land Allocation)という呼称の、土地利用方策決定と、その土地利用に合わせた森や土地の委譲のマニュアル作りの改訂が行われており、JVCも様々な会議等に出席してNGOの立場から意見を発信している。7月にはNGO有志が発起人になる形で、実際のLUPLA実施主体となる郡の森林局の役人、そして国の関連機関の担当官とともに、先行してこの新マニュアルを試してみた地域を訪れるスタディーツアーを行った。
村人からは、境界線争いが減った、土地がなかった家族に土地が与えられた、などの声が挙がり、一定の成果が見られたようだった。しかし一方で、森の使い方についての議論が村人主導とは言いがたかった、参加したのは男性ばかりだった、など村人の参加の度合い、そしてあり方を高める余地がまだあるということも分かってきた。また、村人の共有林が正式に登録されるのが、新マニュアルの特色となるはずだったが、Communal land=共有林としての登録にまでは至っておらず、その点ではこれまでの土地森林委譲との違いが明確にはなっていない面があった。マニュアル完成に向けて依然改善の余地が様々あるが、政府の担当者とNGOがともに村人の声に耳を傾け、新マニュアルについて意見を交わす貴重な機会であったことは間違いない。
村人とともに村を実際に歩きながら、情報を集めていく