SRI (幼苗一本植え)紹介行脚
SRI(System of Rice Intensification: 幼苗一本植え)はマダガスカルで半ば偶然発見された新しい稲作技術だ(日本にも疎植理論といったものがあるが、SRIとは交わることなくそれぞれ独自に発展した模様、詳しくは下枠を参照ください)。今では世界的に普及しつつあり、お隣カンボジアでも国を挙げて推奨している。ラオスでも、2月のマンスリーレポートでお伝えの通り全国会議なども行われ、農林省も力を入れてきている。
とはいえ、ラオスの大半の村人にとっては初めて接する技術。口でただ説明されてもなかなかピンと来るものではない。そこでテレビとビデオCDプレーヤーを車に積み、各村を廻った。お寺などの場所を使用し、まずは大音量で歌謡曲や民謡のビデオなど流して人寄せ。そしてそうやって楽しんだあと、いよいよSRI紹介のビデオを上映する。主な出演者はJVCラオスのスタッフと昨年終了したカムアンプロジェクトの対象村の1つだった村の人々。興味深そうに見入っていた村人から、上映後様々な質問が出る。スタッフはそれらに答えると同時に、7月上旬にビデオに登場する村へのスタディーツアーが予定されており、「ビデオに出演している村人に直接」聞くことができる、ということを説明する。5村すべてで上映会を実施し、各村から村の規模に応じて2〜3名の参加者を募った。
※SRI(幼苗一本植え)
JVCカンボジアでも実践しており、伝統的な田植えでは「古い苗を、10本ほどの束にして、適当に植える」形で行われていますが、「若い苗を、1本で、1列にきれいに植える」というのがSRIです。それによって、本来稲が持つ生命力を十分に高め、増収を達成できると考えています。
井戸支援話し合い進む
井戸の支援については、対象5村のうち3村で要望が挙がっている。壊れた村全体の共用井戸の修理を希望する村、井戸はあるにはあるし、壊れてもいないが、世帯数に比してあまりにも少ないのでもう一つ欲しいという村、要望は様々だが、いづれにしても新しい井戸の掘削は原則3月か4月。雨季に掘ってしまうとすぐ水が出るので、乾季に備えてどこまで深く掘ればよいのかがわからない。
一方すぐにでもできるが案外面倒とも言えるのが修理。修理すれば水は出るが、使い続ければ、いつかはまた壊れると思って間違いない。そうなったときに備えて、積立金なりなんなりをする必要があるが、人間いざ壊れるまではなかなか行動しようとしなかったりするものである。しかしある村では、先にお金を集めてから(そのお金は使わずに取っておいて)、修理費の支援をJVCに依頼するという提案をしてきた。この村の村長は非常にアクティブな人で、早速積み立て基金の規則案を書くし、全戸からお金を集めるという。まずはそれを待ちたい。
養魚状況調査
村で養魚を行っている人たちについて大まかに様子を調べ始める。多い村で10家族以上、少ない村で3家族程度がため池を持っている。家の近くに掘った全く人工のため池もあれば、川の水を一部流し込んだような半天然池もある。ただしこれといって手をかけている人はあまり多くない。
まず村にいると、能動的に自分からよい稚魚を求めて動き回ることは難しく、遠くからやってくる業者の売るものを買うしかない。また、ある養魚専門家によれば「自然の池の小さい版という程度の認識」ということで、養魚が極めて人工的な生産活動であり、なにかと手をかけないといけない、という認識を持った人もあまり多くないようだ。こうした発想からか、池に入れる稚魚の量もかなり過剰気味。とりあえず沢山入れれば沢山取れるのでは、といったところのようだ。しかしそんな中にも稚魚飼育用ネットを持っているなど、工夫している人もいる。今後より調査を進めて、このような人々を軸にしつつ少しずつ技術を紹介していくことになるだろう。
森林チーム活動
6月は田植えの時期でむやみに現場に出ても収穫がないどころか、むしろ村人の迷惑となってしまう。それもあって森林チームではこの機会にGIS(Geographic Information System:地理情報システム)のスタッフ研修を行った。衛生写真などをコンピューター上に取り込むことができ、そしてそれを加工したり分析したりできるシステムであるこのGISを使うことで、村の土地利用の実態を把握することができる。また、村人の描いた地図と照らし合わせてみると、その正確さに驚いたり、そうは言いつつやはり案外ズレているもんだな、と納得したりすることになる。今後、村で行う土地や森の登録の際に衛生写真を元に地図を作成する。このため、GISを使いこなせるようにしていく。
その他中央レベルでは、第5回ASEANゴム植林会議がビエンチャンにて6月18〜20日で開催された。現在、ラオスに多くの植林問題が起きていることから、ガイドラインの設置について現地で活動するNGOとともに提言を行った。7月上旬実施の土地森林委譲(LUPLA:Land Use Planning and Land Allocation:詳しくは当レポート3月分参照ください)のマニュアル改訂に向けて、既に実験的に新マニュアル案に沿ってLUPLAを行った地域へのスタディーツアーの準備、そしてNTFP(Non-Timber Forest Products:非木材林産物)の栽培技術についての情報収集を行った。



